子どもたちの創造性を活かすために必要なのは教材の自由度
探究型プログラミング学習のワークショップでは、littleBitsという電子回路を作る教材を使っています。
littleBitsとの出会いや、どんなところがプログラミング学習に相応しいかについては過去に書きました。
今後、学習プログラムの内容や難易度に合わせていろいろな教材を使っていきたいと考えていますが、プログラミング学習の入門編としては、littleBitsはとても良い製品だと思っています。
いま、プログラミング学習を目的とした様々な教材が、国内外でたくさん出てきています。
実際に手で触って使える教材だと、王道なところではLEGOのWeDoやマインドストームがありますが、個人では手に入れづらいですし、1体が数万円もするのでお手軽な教材とは言いづらいですね・・・
他に、学研の「もののしくみ研究室が開発した踏切などのオリジナル教材も興味深いです。
はたまた、幼児向けの玩具とようなものとして、RootやCubettoみたいなものまであります。
遊びながらモノの仕組みを理解したり、アルゴリズムを学んだり、簡単なプログラミングの概念を学んだり
といったことができる製品が多いのですが、どれも魅力的ではあるものの、致命的に足りないことがあると私は思っています。
それは、利用用途が決まっていて、多かれ少なかれ完成イメージが決まっていることであり、作りの自由度が高くないということです。
これは、教える側の都合なのでしょう。
作り方も、完成形も、同じである方が教えやすいですし、教えるべきことをはじめに設計することも容易です。
しかし学習者の視点からみると、教材の用途が限定されていることには物足りなさを感じてしまいます。
先日、littleBitsによく似たBRIXOという製品が紹介されていました。
レゴブロックと互換性があること、Bluetoothを標準装備している点がlittleBitsにはない魅力です。
ただ、BRIXOの紹介動画を観る限り、これは意外と自由度が高くないかもしれません。
なぜなら、レゴブロックに組み込んでこそ威力が発揮されるので、LEGOの世界の外には出づらいからです。
レゴブロックは創意工夫の余地が多分にあるように見えて、意外とそうでもない、ということがlittleBitsの工作を何度かやるうちに感じるようになりました。
何か作りたいものがあるとき、自分の思うサイズにカットしたり、丸みをつけたり、形を付け足したり、が自由にできる紙工作と比べると、形や組み合わせに制約のあるレゴブロックは創造性を最大限に発揮できるとは言えないんですよね。
もちろん、紙工作とBRIXOを組み合わせることだってできるのですが、そうなると、せっかくのLEGOの互換性を活かせないからもったいないし・・・
その点からみても、紙工作とlittleBitsの組み合わせは、自由度がとても高く、21世紀型スキルのWays of thinkingの中にある創造的に考える、イノベーションに繋がるアイディアをつくる、あたりのスキルを最大限に伸ばせることが期待できます。
実際に、ワークショップをやるたびにlittleBitsの活用のされ方には驚きます。
ちなみに、これまでで一番、印象的だったのはLEDライトを使ってプラネタリウムを作った女の子たちでした。
他の子はみな、ライトを外につけて光らせるのに、彼女たちは真っ暗なドームを作って、その中にライトを取り付けたんですよね。
そのドームが小さすぎて(笑)ライトがつく様子を見るのは一苦労だったのですが、ライトのモジュールを見て、プラネタリウムを作ろう、という発想は素敵だなと思いました。
これは、少なくともレゴブロックを使っていたら出てこない発想だったでしょう。
littleBitsは、5月18日ー20日にビッグサイトで行われる教育ITソリューションEXPOの学びNEXTでも展示されるそうです。
お時間のある方はぜひ、ブースに立ち寄って実際に手にとってみてください。
大人でも思わず立ち止まるビジュアルと、触り始めたらとまらない魅力をきっと実感できると思います!