【レポート】EDIX2019で見つけたプログラミング教材あれこれ
毎年この時期に開催されている、教育ITソリューションEXPO へ行ってきました。
カラフルなブロックやかっこいいロボットなど、プログラミング教育関連の教材も数年前に比べてぐっと増えました。
そんな中で、探プロならではの目線で見つけた教材をいくつか、ご紹介します。
EDIXへ初めて行ったのは5年くらい前だったと思いますが、当時は電子黒板や電子書籍、アクティブラーニングというキーワードが全盛期でした。
そのあと、少しずつプログラミング教育のコンテンツや教材も増えて、いまではどこを見てもロボットやブロックの教材ばかり、という感じです。
今年は特に、海外の教材が多い印象でした。
中でも、探プロで使っているlittleBitsとよく似たコンセプトのこちらは気になりました。
中国の深センで作っているそうです。
CH MAKER Ed - STEM education made simple
パーツがブロックになっていて、磁石でくっつく仕様はlittleBitsそっくりです。
ただ大きく違うのが、micro:bitと組み合わせて使える汎用性があるところですね。
工作であればlittleBitsの方が使い勝手は良いのですが、プログラミングとなると独自仕様がネックになってなかなか使いづらいのです。
でもこれなら、littleBitsのような使い方でプログラミングの考え方を学びつつ、micro:bitと組み合わせて複雑な動きをするプログラミングにも挑戦、という感じで自然なレベルアップが実現できそうです。
センサーの種類が多いところも◎。
パーツ写真の上が低学年向け、下が高学年向けだそうです。
1個あたりのお値段はlittleBitsと同じくらい、と言われましたが、サイトを見てみると、かなりお高い感じですね。
しかも日本にはまだ代理店がないらしく入手は難しそう。
続いて、あのバンダイの新規事業部が開発したというこちら。
アルゴロイド ALGOROID│3rd Factory(サードファクトリー)
スマホやタブレットでプログラミングしたロボットを使って対戦、というコンセプト自体は、いろいろな教材で見かけるし珍しいものではないのですが
これはスマホをそのまま車に乗せて使う、というスタイルです。
そうするとキャラクターが表示される仕様なのですね。
惹かれるのは、「遊ぶ」ということに拘って創っているところです。
学びの中に遊びを、という一般的なプログラミング教材とは違って、潔い感じが良いなーと感じました。
ボードの上で4台まで、同時に遊べるそうです。
開発者の方によれば、学校へ導入しようとしたけど、スマホの持ち込みができなくて・・ということだったのですが、これは学校の外で遊んだ方が絶対に盛り上がるのではないでしょうか。
ワークショップで出したら大人気になりそうです。
個人で購入して、友だちと遊ぶのでもいいですね。これならプログラミングがかなり身近になりそう。
発売後は1年後だとか。これも使ってみたい!
そして、ダントツでツボだったのがこちら。
とーっても地味なブースだったので通りすぎてしまいそうになったのですが、このブロックを見たら目が釘付けになってしまいました。
ブロックの1つ1つにメロディーを登録できるようになっていて、上から順番に鳴らし、繰り返しなども入れて曲を構成する、という仕様です。
なるほど、音楽はプログラミングそのものですしね。
いろんな曲を登録できるのだ、という説明をふむふむと聞きいていたのですが、この教材のすごい点は歌うところ、ではなかったのでした。
写真にあるオレンジのブロックが、他のブロックより少し右側にズレているのが分かるでしょうか?
なぜだと思います?
これはインデント(字下げ)を表現しているのです。
最近よく使われるPhthon(パイソン)というプログラミング言語では、繰り返しの命令をこんな感じで書きます。
for i in range(0, 4):
print("クワ")
print("ケケケケケケケケ クワクワクワ")
真ん中の文が、少し右側に寄っているのが分かるでしょうか?
こうやって書くと、"クワ"を4回繰り返す、という命令になります。
ではもし、こんな感じで書いたらどうなるでしょう?
for i in range(0, 4):
print("クワ")
print("ケケケケケケケケ クワクワクワ")
正解は、"クワ ケケケケケケケケ クワクワクワ" を4回繰り返す命令、です。
インデントのある部分を1つのまとまりとして扱うのですね。
でも、これだと違う歌になってしまいますね。
プログラミングを一度も体験したことがない人でも、なんとなく雰囲気は分かると思います。
Phthonのようにインデントがなければ意図した動きにならないプログラミング言語もあれば、インデントを全く使わなくても動かせるものもあります。
それでも、コンピュータにとっても人間にとっても、インデントを使って命令の構造を分けて表現することは重要です。
(人間にとってはそれが分かりやすさにつながります)
開発者の方曰く、インデントを使ったブロックの並びに慣れておけば、実際のプログラミングのときにも違和感がなくなるはずだから、とのことでした。
そんなところへの拘りに、個人的にはものすごく共感してしまうのですが、どうでしょうか。
プログラミングの前にまず考え方から、を徹底する姿勢に脱帽です。
さらに、このブロックはインデントだけでなく、関数にまで対応しているのだから驚きです。
写真右上に、f()と書かれたブロックがあるのが見えるでしょうか?
これが関数(Function)すなわち、同じ命令を何度でも実行できるようひと塊にしたプログラムの集まり、です。
写真左側にf() 2 と書かれたブロックがあるのですが、これは関数2番を呼び出す命令ブロックであることを示しています。
この写真だと、f() 4しかないので呼び出せないのですが、f() 4を呼び出せば、ちゃんと関数が呼び出されて実行されます。
さて、f() 4という関数は何回呼び出されるか分かりますか??
パソコンを使わずにプログラムの考え方を学ぶ教材としては非常に良いものだと思います。
これもまた、販売前で価格も未定とのこと。
そして最後はこちら。
Ai.R-Cord - わくわくするようなICT/プログラム体験を
佐賀県にある印刷会社が出店ということで、ちょっと関係性がよく分からなかったのですが、どうやらARを使ったプログラミング教材というコンセプトの佐賀県認定事業なのだそうです。
これもまた地味なブースだったのですが、なぜ地味なのか?
それは、ブース内に教材が存在しないから、なのです。
周辺には、カラフルで楽しそうなブロックやロボット教材がたくさんあって、キラキラしていましたが、このブースには何もない。
あるのはパソコンと、マーカーと呼ばれる紙キレのみ、です。
パソコンのカメラをこのマーカーに合わせると、画面上にARでイルカや車などが表示される仕組みです。
プログラミング自体も画面上でやるのですが、タッチパネル式なので、直観的で非常に分かりやすいものでした。
教材が不要という発想は目から鱗が落ちるようでした。
開発者の方も仰っていましたが、このコンセプトは会場内見渡しても他にありません。
学校の現場では、教材を購入する費用だったり、使いこなすための技術だったり、故障などトラブルがあったときの対応など問題が山積みで、プログラミング学習を浸透させづらいという課題があります。
でも、これは2020年3月まで無料で使えるそうですよ!
そのあとは、学校単位でのライセンスになるので、何人でも何台でも、学校1校あたりわずか10万円/年間なのだそうです。
現在はWindowsタブレットしか対応していないそうなのですが、学校現場であれば問題なさそうですしね。
とにかく直観的で分かりやすいところが良いと思いました。
これからコンテンツも増えるようなので、学校関係者の方は要チェックです!
たくさん見てきましたが、個人的には以前ほどの盛り上がりに欠ける印象でした。
プログラミング教育というキーワードが以前ほど真新しさを感じないくらい、浸透してきているからかもしれません。
予想通り、教材自体をウリにできる時代はすぐに終わりそうです。
これからは、学習の中身で勝負になるはず。
さて来年はどうなっているのか・・楽しみにしたいと思います。