親子コミュニケーションツールとしての探究学習のススメ 2/3
今回、親子で体験した授業のテーマは「失われた古代遺跡を探せ!!」というものです。
授業を体験するまで、私自身は歴史にたいして興味も知識もなく、古代遺跡にロマンを感じることもありませんでした。
「トロイの木馬」と聞いても、面倒なウイルス、という発想しかなかったですし...
それが、指導者である探究博士の話を聞いているうちにグイグイと引きこまれていき、終了後には、シュリーマンの伝記やトロイアをテーマにした絵本や漫画などを探しまくって図書館で予約するほど親である私の方がハマってしまったのです。
息子は息子で、帰宅後にやっていた公文の宿題の中にアテネの話がでてきて喜んでいました。
古代遺跡、アテネ、トロイの木馬、といったキーワードは、日常の中ではなかなか出てこない話題ですし、僅かでも彼の中で何か残るものがあったのであれば嬉しいことです。
授業は非常にアグレッシブな感じで進められていき、探究博士と他の子どもたちのやりとりのレベルが高くて驚きました。
息子の通う公立の小学校では自由に発言する機会が少ないですし、意見を求められる際にも「答え」ありきであることが多いので、息子にとって探究学舎の授業は少しストレスだったようです。
そんな話を授業後に相談したところ、そういった子どもは少なくないとのこと。
打開策として頂いたアドバイスは
- 場数を踏むことで少しずつ、自由に発言しても良い場であることを実感する
- 子どもが自分の意見を持ちづらいときは、親がまず自分の意見を言ってみせる
というものでした。
特に2つ目のアドバイスが意外でしたね。
他者の意見をきくとそれに引きずられてしまい自分で考えなくなるだろうと思って、これまでなるべく言わないように心がけてきたのですが、何もないところからは発想は拡がらないですし、思考の手助けになるのであれば確かに有効なのかもしれません。
さて、探究学舎の授業を体験したことによって、最初に抱いていたイメージがどのように変化したのかを1つずつ書いてみます。
1. 答えのないテーマに対して子どもたちが自由に発言し、思考や発想自体に重きをおいたディスカッションをする(?)
今回のテーマに対して投げかけられる問いには、実は答えがありました。
その問いとは、「トロイアの遺跡は実在したのだろうか?」であり、知識があれば「実在した」と答えて終わりです。
そのため、答えのある問いを使うことが不思議だったのですが、意図は子ども自身に仮説を考えさせるところにありました。
あるか、ないか、の答えを言うことが重要なのではなく、自分はどう思うか?なぜそう思うのか?についてまず考えさせます。
その上で、それを仮説としてもちながら、授業を受けるのです。
これをやるかどうかでinputの沁み込み方が全く変わりますね。
探究と聞くとついつい、答えを探すための調査からスタートしてしまいがちですが、まずは仮説を立てるプロセスを置き、思考力や知識、過去の経験などを活かすことを重視するのが良さそうです。
テーマによって、答えはあったり、なかったり、するそうですが、答えのある問いであっても探求学習に使えるというのは意外でした。
ちなみに、このときの息子の答えは「ない」でした。
なぜなら、いまの世界地図にトロイアの名前がないから。
そんな答えですら、素晴らしい!と拾ってくれる探究博士やスタッフの方々は本当に素晴らしいです!!
2. 思考やディスカッションそのものに意味がある(?)(inputやoutputは重視しない)
はじめに探究博士から簡単な説明があり、さらに動画を使って詳細な解説がありました。
口頭での説明も、動画を使った解説も、非常に分かりやすいので驚きます。
(何より驚くのは、このコンテンツを毎週違うテーマで手作りしていることです!!)
さらに、参加している子どもたちが持っている知識が加わり、総じて素晴らしいinputを得ることになりました。
私のような勉強不足の大人にとっては、自分自身の知識があまりに貧弱であることを実感する良い経験にもなります...
こうしたinputを通じて、もっと知りたい!という意欲をかきたててくれるのですね。
そして、実際にシュリーマンがトロイア遺跡を発掘したことを知った子どもたちには再び問いが投げかけられます。
- このストーリーの中で、どんなところが響いたか?
- 自分だったら、どんなものを発見したいか?
自分の立てた仮説を調査(動画を観る)によって検証し、その結果を知った上で、再び自分自身と向き合います。
最後の問いには、夢をもって実現することの大切さを子どもたちに伝えたいという探究学舎の想いが込められています。
(テーマによって、この辺は異なるとのこと)
息子の反応は正直なところ私の期待通りとはいきませんでしたが、、、
それでも彼なりに考え、2つめの問いに対して「竜宮城」と「花坂爺さんの灰」と抜群の発想力(笑)で答えていました。
探究学習において、自分の意見を発言したり、調べたことを発表したり、それを絵に描くなどの手段で可視化したり、といったoutputは非常に重要であるとのことです。
なぜなら、他者によってそれを評価してもらうことができ、それをモチベーションにして「もっとやりたい!」という気持ちを引き出すことができるからです。
実際に、随所でフィードバックしてくれる指導者の方々の意見は素晴らしく、子どもだけでなく親である私に対しても非常に前向きなフィードバックをしてくれるので、親まで嬉しくなってしまう、という効果もありました。
そして最後に
探究学習は指導者と子どもとの関係において行われる(?)(親は見学 or 塾に預ける)
という仮説が大間違いだと分かったときの衝撃といったら…
(教室にはマンガを中心に、学習意欲をそそる本がたくさん!)
その3へ。