Minecraftで社会課題と向き合う
探プロは、一般的なプログラミング学習とは違うポジションをとっているので
同じように、他とはちょっと違うタイプのコンセプトを見つけると嬉しくなります。
とはいえなかなか出会えないのですが、最近は少しずつ、これは!
と思えるものが出てきたように感じます。
そんな新しい形のプログラミング学習をいくつかご紹介していきますね。
まずは、マインクラフトで未来都市を作ろう、というコンペ。
コンペの様子はこちらから。
マインクラフトはICT教育の可能性を広げる - つくろうみんなの未来都市コンペティションin Minecraft | パソコン | マイナビニュース
このイベントのことをFacebookでシェアしていた知人がいて
息子さんが参加されるということだったので関心を持っていました。
なぜなら、ちょうどその少し前にこんな記事を読んだからです。
マインクラフトの第一人者という人が、プログラミング学習でマインクラフトを使うメリットとして
思考力というよりも、ネットを検索して自分の欲しい情報を手に入れるICTリテラシーに効く
と言います。
私自身はマインクラフトがいまひとつ修得できずにいますが
息子がやっているのを見ると、創造力が刺激されているようで、すごく可能性を感じます。
それなのに検索がうまくなる、ではあまりにも寂しいなと…
なので、スウェーデン大使館が主催するこのイベントは本当に素晴らしいと思いますし、プログラミング学習の方向性としてとても共感します。
探プロでも、先日にやった公園を作ろう、のワークショップの中でSDGsにチャレンジしましたが
こうした傾向は、少しずつ増えていくはずだと考えています。
いまは、プログラミングを教育の娯楽に近い形で体験できるものが多く
子どもの興味を惹きつけることはできても、それが何の役に立つのか?
という学習に結びつかないので、継続しない可能性が高いです。
プログラミングは、誰かの何かを解決するものである
という学習こそが、プログラミングを問題解決の手段として捉える正しいアプローチだと私は信じています。
なので、このコンペのように社会課題と向き合うきっかけを作るイベントは素晴らしいですし
仲間と協力しながら作り上げる点も含め
プログラミング学習のコンセプトとしても、探プロの考え方と100%合っています。
ここであらためて、マインクラフトの良さは何だろうか?
と考えてみると、自分の作品に使うリソースが無制限なことであり
そのおかげで、子どものもつ創造力が存分に発揮できる
ことではないか、ということが見えてきます。
先日の公園作りでは、五感を使った工作とはいえ、やはりできることには限りがあって
そこで創造力が活かしきれず参加者が飽きてしまう場面がありました。
作り上げるステップで、自分の理想をとことん追求できることは
とても重要だと思います。
その中でプログラミングの概念も学べるでしょうし、いろんな思考力が身につくことでしょう。
マインクラフトは立派なプログラミング学習の手段になり得るわけですね。
探プロの街づくりのプログラムと、このマインクラフトのコンセプトを掛け合わせて
新しいプログラムを作ってみたくなりました。
そして、そこで創った作品をコンペに応募する、という流れができたら
参加者のモチベーションも高まりそうです。
これはやってみたいですねー
社会的課題に向き合うプログラミング学習へのチャレンジ 2/2
今回のワークショップは、参加者の皆さんがコンテストの空き時間に参加する形だったこともあり、いつものようにワイワイガヤガヤ、とはいきませんでした。
とはいえ、自身の作品を既に提出済で、プレゼンまでの空き時間を利用して参加してくれた2人の少女(中2、小3)は
私の期待をはるかに上回る成果を出してくれたので驚きました。
まずはアイスブレイクから。
後方にストローの衣装(?)をまとった不思議な少年がいますが(笑)
それはさておき、アイスブレイクでは公園にあるものを分類し、名前をつけるゲームをやりました。
これは、以前のワークショップでやった「散らかった部屋をみてお母さんが怒っています!早く片付けよう!!」の公園バージョンです。
詳細はこちら。
【レポート】littleBitsで公園をつくろう!その2 - 次世代の子どもたちに必須の21世紀型スキルを修得する『探究型プログラミング学習』
結論からいうと、このゲームは彼女たちには簡単すぎたのと、選択肢として用意したものが当たり前のものばかりだったので
おもしろい分類や想定外のネーミングが生まれなかった・・・という反省点があります。
ここは、参加者の頭をかき乱すための作戦が必要なところですね。
そのあと、自分の作りたい理想の公園を考え、その公園が解決する社会的課題を選ぶ時間に移りました。
質問項目としてはこんな感じです。
- わたしにとって公園はどんなところ?
- どんな場所に公園をつくりたい?
- 公園にあったらうれしいものは?
- その公園にはどんな人達が集まるのかな?
それに対して、小3の女の子はこんな公園を考えてくれました。
山の中にある遊具の公園で、宇宙まで飛べるブランコがある
空を超えて宇宙にまで飛べるブランコ!
彼女との対話を通じて、空や宇宙に飛んでいけば、上空から地球を眺めることができるから、SDGsにあるような課題を俯瞰的に調査することができる。
だから、調査員を派遣するための移動手段として使える!
ということになりました。
なんという斬新な発想!!
そして、出来上がったのがこの「スペースシャトル公園」
画像右側にあるブランコに乗ると、発射台からこのスペースシャトルを通って宇宙へ飛び立ちます。
工作しながら、このスペースシャトルの中そのものも公園になっているという新しい発想も生まれました。
ちなみに、画像左上にあるのがlittleBitsで組んだ回路ですが、スペースシャトルを発射させる装置になっています。
遊具のあるごく普通の山の上にある公園が、なんと宇宙への発射台にもなるなんて!
そしてこちらは、中2の女の子の作品。
彼女が作りたかった公園は、自然の中で自然をおもいきり体感できる公園。
名付けて「自然を体で感じる公園」です。
日当たりの良い場所にあるベンチやテーブルには木の素材が使われ
小さい子でも安心して遊べるよう川辺を整備したり、自然と触れ合える場所を作ったり。
散歩道には、そこで見られる動物たちを紹介する木造パネルも置かれています。
彼女の想像力は留まることを知らず、素晴らしいイメージがどんどん膨らむのですが
一方で彼女の手元にある工作の材料は、残念ながら全てプラスチックや紙のものばかり・・・
木製の、というところに拘りのあった彼女の期待に応えてあげることができず主催者としては歯がゆい気持ちでした。
独特の世界観の中に、littleBitsを使ったライトを静かに灯すあたりが、とても彼女らしい作品に仕上がったと思います。
探プロのワークショップでは工作の出来栄え自体は評価していません。
最初に書いたように、今回のワークショップでは2つの目的を設定したので、それを達成できたかどうか?で評価します。
今回参加してくれた彼女たちは、単に理想の公園を考えるだけではなく、社会的課題とも向き合い
単なる遊具を工作するのではなく、課題を解決する手段として使えないか?と考えることができました。
一方、限られたられた時間の中ではlittleBitsを使ってアルゴリズムを考えるところにまでは辿りつかず、少し物足りなさも残りました。
今回のワークショップは、初めての試みとしては上出来だったと思いますが、欲張りすぎたことが反省点です。
工作とlittleBitsを使ったアルゴリズム学習、それに社会的課題の解決
とあれもこれもと詰め込みすぎたかもしれません・・・
次回やるときには、目的を1つに絞って、もう少し分かりやすい成果が見えるようにデザインし直そうと思います。
そういったわけで、いろいろと課題はあるのですが・・・
それでも、プログラミング学習をしながら社会的課題に向き合う
という試みはなかなか他にはない試みではないかと思います。
課題は山盛りとはいえ、チャレンジしたことには意味があったと思いますし
探プロとして、SDGsを使った学習プログラムは今後も続けていこうと思います。
この学習プログラムは今後も発展させていく予定です。
企業や教育機関向けにも応用できますので、関心のある方はお問い合わせください。
社会的課題に向き合うプログラミング学習へのチャレンジ 1/2
先日、こちらのコミュニティが主催するフォーラムにて、ワークショップを担当させて頂きました。
今回のフォーラムは、小学生から社会人までを対象に、各自の思い描く公園コンセプトを練り上げ、有識者たちのいる場でプレゼンするコンテストでした。
テーマは「世界公園をつくろう」です。
このコンテストでは、まず自分の理想とする公園を考え、次にその公園が世界や地球レベルで抱える課題に対し、どのように貢献していくのか?
といったことを考えることが求められています。
公園つながりということでお声がけ頂いたのですが、探プロはこれまで、楽しい街とか、面白い遊具、といった観点でワークショップをやってきているので
こんな真面目なイベントに参加するのは場違いではないか・・・
と危惧していたのですが、結果的には良い感じでJoinできたのではないか、と思っています。
21世紀型スキルの修得を目指す探プロでは、当初から社会的課題というテーマは念頭にありました。
ただ、ワークショップという場でチャレンジするにはあまりにハードルが高く、なかなか手を出せずにいたんですよね。
ずっと尻込みしていたことに今回、良い形でチャンレンジする機会を頂いたと思って一念発起してゼロから企画しました。
今回のワークショップでは初の試みをいくつかやっていますが、そのうちの1つは
ワークショップに目的を定めたことです。
先日の投稿の中で、学習の評価について書きました。
プログラミング学習の目的を考える(評価編) 2/2 - 次世代の子どもたちに必須の21世紀型スキルを修得する『探究型プログラミング学習』
たとえ単発のワークショップであっても、何らかの目的を設定することでそのワークショップが成功したかどうかを評価することができるかもしれない、と考え
今回は2つの目的を設定しました。
1つ目は、以下のようなプログラミングの概念を知り、使いこなすこと。
ワークショップごとににやりすぎ・・・と思われるかもしれませんが、あくまでも「プログラミング学習」の場であることは
探プロとしては絶対に譲れないところなので、ここは大切です。
2つ目は以下の21世紀型スキルを身につけること。
ちなみに、今回は社会的課題としてSDGsの17の目標を使うことにしました。
SDGsとは、これから2030年に向けて、地球上に住む全ての人類が問題解決のために考え行動する必要があると国連で定められた『持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)』のことです。
SDGsは
・People(人間)
・Prosperity(繁栄)
・Planet(地球)
・Peace(平和)
・Partnership(協働)
の5つに分類した先の17の目標からなります。
日本国としても当然、この目標に沿った活動を進めていくことになっていて、こちらで安倍首相の宣言を読むことができます。
NPOなどの団体だけでなく、企業、とくにグローバル企業では既にSDGsに取り組んでいるところがあります。
たとえば、パナソニックのソーラーランタン10万台プロジェクト。
一般的にはまだ馴染みのない用語ですが、今後は企業だけでなく教育の現場にも少しずつ浸透していくのではないかと考えています。
というのも、17の目標というのは非常に分かりやすく、どんな課題に取り組んでいるのか、ということをアピールするのに使い勝手がとても良いからです。
探プロとしては、21世紀型スキルの4分類のうちの1つ「Ways of living in the world」を修得するのに
これ以上ないキーワードだと考えています。
17の課題の全てを深く理解するのはまだまだ私自身が不勉強ですが、これをきっかけに、子どもたちが自分で関心をもって問題に向き合うようになってくれたら
と思います。
ワークショップの流れは大まかにこんな感じで設計しました。
実際に、どのような形に仕上がったのでしょうか?