社会的課題に向き合うプログラミング学習へのチャレンジ 2/2
今回のワークショップは、参加者の皆さんがコンテストの空き時間に参加する形だったこともあり、いつものようにワイワイガヤガヤ、とはいきませんでした。
とはいえ、自身の作品を既に提出済で、プレゼンまでの空き時間を利用して参加してくれた2人の少女(中2、小3)は
私の期待をはるかに上回る成果を出してくれたので驚きました。
まずはアイスブレイクから。
後方にストローの衣装(?)をまとった不思議な少年がいますが(笑)
それはさておき、アイスブレイクでは公園にあるものを分類し、名前をつけるゲームをやりました。
これは、以前のワークショップでやった「散らかった部屋をみてお母さんが怒っています!早く片付けよう!!」の公園バージョンです。
詳細はこちら。
【レポート】littleBitsで公園をつくろう!その2 - 次世代の子どもたちに必須の21世紀型スキルを修得する『探究型プログラミング学習』
結論からいうと、このゲームは彼女たちには簡単すぎたのと、選択肢として用意したものが当たり前のものばかりだったので
おもしろい分類や想定外のネーミングが生まれなかった・・・という反省点があります。
ここは、参加者の頭をかき乱すための作戦が必要なところですね。
そのあと、自分の作りたい理想の公園を考え、その公園が解決する社会的課題を選ぶ時間に移りました。
質問項目としてはこんな感じです。
- わたしにとって公園はどんなところ?
- どんな場所に公園をつくりたい?
- 公園にあったらうれしいものは?
- その公園にはどんな人達が集まるのかな?
それに対して、小3の女の子はこんな公園を考えてくれました。
山の中にある遊具の公園で、宇宙まで飛べるブランコがある
空を超えて宇宙にまで飛べるブランコ!
彼女との対話を通じて、空や宇宙に飛んでいけば、上空から地球を眺めることができるから、SDGsにあるような課題を俯瞰的に調査することができる。
だから、調査員を派遣するための移動手段として使える!
ということになりました。
なんという斬新な発想!!
そして、出来上がったのがこの「スペースシャトル公園」
画像右側にあるブランコに乗ると、発射台からこのスペースシャトルを通って宇宙へ飛び立ちます。
工作しながら、このスペースシャトルの中そのものも公園になっているという新しい発想も生まれました。
ちなみに、画像左上にあるのがlittleBitsで組んだ回路ですが、スペースシャトルを発射させる装置になっています。
遊具のあるごく普通の山の上にある公園が、なんと宇宙への発射台にもなるなんて!
そしてこちらは、中2の女の子の作品。
彼女が作りたかった公園は、自然の中で自然をおもいきり体感できる公園。
名付けて「自然を体で感じる公園」です。
日当たりの良い場所にあるベンチやテーブルには木の素材が使われ
小さい子でも安心して遊べるよう川辺を整備したり、自然と触れ合える場所を作ったり。
散歩道には、そこで見られる動物たちを紹介する木造パネルも置かれています。
彼女の想像力は留まることを知らず、素晴らしいイメージがどんどん膨らむのですが
一方で彼女の手元にある工作の材料は、残念ながら全てプラスチックや紙のものばかり・・・
木製の、というところに拘りのあった彼女の期待に応えてあげることができず主催者としては歯がゆい気持ちでした。
独特の世界観の中に、littleBitsを使ったライトを静かに灯すあたりが、とても彼女らしい作品に仕上がったと思います。
探プロのワークショップでは工作の出来栄え自体は評価していません。
最初に書いたように、今回のワークショップでは2つの目的を設定したので、それを達成できたかどうか?で評価します。
今回参加してくれた彼女たちは、単に理想の公園を考えるだけではなく、社会的課題とも向き合い
単なる遊具を工作するのではなく、課題を解決する手段として使えないか?と考えることができました。
一方、限られたられた時間の中ではlittleBitsを使ってアルゴリズムを考えるところにまでは辿りつかず、少し物足りなさも残りました。
今回のワークショップは、初めての試みとしては上出来だったと思いますが、欲張りすぎたことが反省点です。
工作とlittleBitsを使ったアルゴリズム学習、それに社会的課題の解決
とあれもこれもと詰め込みすぎたかもしれません・・・
次回やるときには、目的を1つに絞って、もう少し分かりやすい成果が見えるようにデザインし直そうと思います。
そういったわけで、いろいろと課題はあるのですが・・・
それでも、プログラミング学習をしながら社会的課題に向き合う
という試みはなかなか他にはない試みではないかと思います。
課題は山盛りとはいえ、チャレンジしたことには意味があったと思いますし
探プロとして、SDGsを使った学習プログラムは今後も続けていこうと思います。
この学習プログラムは今後も発展させていく予定です。
企業や教育機関向けにも応用できますので、関心のある方はお問い合わせください。