【コラム】キッザニアはアルゴリズムを考えて論理的思考力を鍛える場である
まもなく夏休みに突入する小学校も多いのではないでしょうか。
学校の授業日数の関係で小学校での夏休みを減らす自治体もあるようですが、長期間の休みをのびのびを過ごせるのは子どもたちの特権のはず。
長い休みを有効活用してもらいたいなぁ、と願っています。
さて、なかなか更新できずにいたBlogですが少しずつ再開しようと思います。
まずは、5月のワークショップに参加してくださった方から嬉しいご報告を頂いたのでその内容をご紹介しますね。
探プロのプログラムはワークショップを体験して終わり、ではなく、そこで学んだ"プログラミングの考え方"を日常の中で使いこなせることを目指して作っています。
たとえば、5月のワークショップのうち小学生向けに提供した『未来の街を旅しよう!』では、アルゴリズムを学んでもらいました。
旅とアルゴリズムの関係はちょっと分かりづらかったようなので、8月に予定しているワークショップでは手を入れようと思っているのですが、このアルゴリズムの考え方の重要性自体は変わりません。
ワークショップの最後に、自宅でも是非、一緒に考えて使ってみてください、とお伝えしたところ、さっそく親子で取り組んでくださったとご連絡を頂きました。
毎回、ワークショップ後にはアンケートを書いて頂いていますが、終了後にあらためてご連絡を頂くことはめったにないので、とても嬉しかったです!
内容を少しご紹介しますね。
先日、ワークショップを受講してから、パソコンを使って「勉強」という感じではなく、生活の中で自然にプログラミングの思考を身につけられないかと考えていました。そこで、ワークショップの時の「旅」を参考に、休みの日のお出かけのスケジュールを組み立てるのにアルゴリズムが使えないかと試してみました。
はじめは、目的地が一つで、その地でやりたいことがいくつかある日に、「どうやって目的地まで行くか」と、「やりたい事をすべてこなすには順番をどうしたらいいか」を考えてもらいました。これは比較的簡単にできました。
別の日に地元で大きなお祭りがあったので、お祭りのプログラムを渡して、見たいものとやりたいことを自由に決めてもらいました。パレードを見て、屋台でお菓子を買って、と決めましたが、渡したお小遣いだけでは屋台で買いたい物が買えないと思ったらしく、ちゃっかり祖父母にお小遣いをおねだりに行っていました。予定(プログラム?)が決まって楽しみにしていましたが、お祭りの前日に予想外にも、溶連菌感染症が発症して体調を崩して寝込んでしまいました。楽しみにしていただけに、かわいそうでした。
子どもが変わったことは、今まではお出かけが受け身で「ついていくだけ」だったのが、自分で行き先などを考えるようになってから自分の意見や主張が出るようになりました。
素晴らしいです!!!
ここで使えるかもしれない?とお母様が気付いて、お子さんが考えるきっかけを作っているところがまず素晴らしいと思います。
プログラミングって私にはよく分からないので.....という保護者の方は多いと思いますが、プログラミングを特別なスキルとして捉えるとそうなるのですが、"プログラミングの考え方"は私たちが日常で使っているものと同じ、ということに気づいてもらいたいなと思っています。
そうすれば、親子で一緒にプログラミングの話をすることは全く問題なくできるはずなので。
目的地を決めて、やりたいことの順番をアルゴリズムで決めていくところは、まさにワークショップでやった旅のアルゴリズムそのものですね。
そして次にチャレンジしたお祭りのワークは、旅と比べると予算や時間に制約が多いはずなので、より難しかったのではないかと思います。
そんな中で、まずは予算の問題を自力で解決したところが素晴らしいです!!(笑)
せっかく決めたアルゴリズムを実行できなかったのは本当に残念だったと思いますが、そうやって能動的に捉えるきっかけがあったことで、ただ親についていく、のではなく自分自身で考えることに繋がったのでしょうね。
子どもたちが積極的に効率性を求めることは少ないかもしれませんが、お金や時間といった分かりやすいところに制約を与えると、どうしたらよいか?
ときっと考え始めると思います。
これは私の息子(4年生)の例なのですが...
先日、キッザニアへ出かけたときに、どのアトラクションをどのタイミングで体験するのか?
どのアトラクションを予約して、スキマ時間で何をするのか?
全部自分で決めて、一緒に行った友だちと行動していました。
親はまったく、ノータッチです。
(5歳の妹が一緒だったので、彼女とのんびり別行動していました)
一方で周りをみると、子どもを連れて必死でブースを駆け回っている親(主にお母さん)がたくさん...
限られた時間の中で、子どもがなるべくたくさん体験できるように親がアルゴリズムを考えるから、子どもたちは親の言いなり、ついていくだけです。
私はそれを見ながら、子どもたちは本当にそれ、やりたいのかな?
と考えてしまったりしていました。
うまく周れなくて希望するアトラクションを体験できなかったのなら、それはそれで体験だと思うのです。
入場料を考えると、もとをとりたいと考える気持ちも分からなくはないのですが、子どもが「悔しい」と思う体験も大切だと思うんですよね。
キッザニアの場合、単に自分のもっている所要時間だけでなく、各アトラクションの所要時間や待ち時間、予約したアトラクションが開始になるまでの待ち時間など、パラメータが非常に多いのでとっても難しいアルゴリズムになります。
親だってこれを考えるの大変ですよね(苦笑)
そういえばキッザニア東京では、NTTドコモさんがついに始めましたね。
どこが最初にやるのかなー、と思っていたらドコもさんでした。
ここでロボットプログラミングを体験するのも◎だと思います。
でも、実はキッザニア全体をプログラミング学習の場に使うことだってできるんですよね。
キッザニアでなくても、先ほどご紹介したように旅行やお祭りといった身近なところでアルゴリズムを考える機会はたくさんあると思います。
夏休み中、是非お子さんと一緒に楽しみながら考えてみてください。
こんなことがあったよー、というご報告もお待ちしています!
【お知らせ】8月のワークショップの募集を開始しました!
小学校はまもなく夏休み!
子ども向けのプログラミングワークショップは年々増えていて、今年も各所で実施されるようです。
どこへ行こうか迷ってしまいますね!
探プロではこの夏、2種類のワークショップを企画しました。
ご都合のつくタイミングがありましたら是非、ご参加ください!
■「火星と通信しよう!」
8月19日(土)午前、午後の2回で実施します。
手のひらサイズのロボットEdisonを使ってインタフェースの重要性を学びます。
☆探プロ☆Edisonでプログラミングー火星と通信しよう(入門編)ー#02 | Peatix
☆探プロ☆Edisonでプログラミングー火星と通信しよう(入門編)ー#03 | Peatix
■「未来の街をガイドしよう!」
8月12日(土)午前、午後
8月13日(日)午前、午後
レゴブロックと電子ブロックのlittleBitsを使ってアルゴリズムを学びます。
☆探プロ☆小学生向け☆LEGO®とlittleBitsを使ってプログラミング~未来の街をガイドしよう~ #01 | Peatix
☆探プロ☆小学生向け☆LEGO®とlittleBitsを使ってプログラミング~未来の街をガイドしよう~ #02 | Peatix
☆探プロ☆小学生向け☆LEGO®とlittleBitsを使ってプログラミング~未来の街をガイドしよう~ #03 | Peatix
☆探プロ☆小学生向け☆LEGO®とlittleBitsを使ってプログラミング~未来の街をガイドしよう~ #04 | Peatix
改善意欲が高いので(笑)、ワークショップは毎回のようにリニューアルしています。
つまり、同じものには二度と参加できない...
タイミングが合ったときがチャンスです。
お待ちしています!
【ワークショップレポート】火星と通信しよう! 2/2
Edisonを使って「インタフェース」を学ぶ、探プロの新しいプログラム『火星と通信しよう!』のワークショップレポートの続きです。
今回のワークショップは探プロ主催ですが、私ともう一人の講師スミスさん、2名のスタッフ、さらに見学予定にも関わらず当日急遽手伝ってくれたKさんとで実施しました。
また、Edison端末やライントレース環境はプログラミング教材を扱っているcoporiiさんからご提供頂きました。
皆さまご協力ありがとうございました!
スタッフは9時に集合して準備開始。
当日のレイアウトはその場で決めたのですが、会場が広いおかげで贅沢に使うことができました。
1人1台のEdisonを使って、はじめにEdisonの簡単な使い方を学びます。
Edisonにプログラムを読み込ませる方法は2つあって、1つはバーコードを読み込ませる方法。
音や光に反応したり、ライントレースしたり。
既に用意されているバーコードを読み込ませるだけで、何通りもの動きを確認することができるんです。
スイッチを入れて、バーコードを読み込んで、すぐに動かせる。
このお手軽さが教育には向いています。
もう一つはEdwareというプログラミング環境からプログラムを転送する方法。
ワークショップ用に用意したサンプルプログラムをEdisonに読み込ませます。
今回のワークショップでは、久しぶりにワークシートを用意しました。
2時間という短い時間の中でEdisonの操作に慣れてもらえるように、手順などを予め記載しておいたのですが、この日に集まった子どもたちはみんな習得が早くて、あっという間にこなしていてびっくりです。
ひとしきりEdisonの使い方に慣れたところで、いよいよ火星との通信にチャレンジします。
このワークショップでは子どもたちにあるミッションを与えました。
それは
「火星にいる仲間を救え!」
というもの。
火星で稼働するEdisonを地球から操作して、火星にいるはずの仲間の無事を確認します。
そのための地球-火星間通信なのです。
今回のプログラムでは、最初からネットワーク通信を体験してもらうのではなく、赤外線通信から少しずつステップアップする形をとりました。
パソコンが身近になったのは大人になってから...という私たち親世代と、生まれたときからスマホが身近にある子どもたちとでは、ネットワークによって繋がる社会というものに対する受け止め方が違うと思っています。
ネットワークはつながって当たり前、使えて当たり前なので、何のために通信技術があるのか?それによって何が嬉しいのか?そのために何が必要なのか?
といったことを考える機会がないと思うんですよね。
とはいえネットワーク自体をテーマにすると範囲が広すぎるし、技術的な話をするには前提知識が足りない。。。
そこで、ネットワーク通信におけるインタフェースの重要性、というものをテーマにすることにしました。
具体的には、まず赤外線を使ったリモコン操作でEdisonを動かすところからスタートします。
そして、地球から赤外線を飛ばすには距離が遠すぎることから、別の手段が必要であること、また、あまりに遠すぎる場合には通信を中継する仕組みが必要であることを知ってもらいます。
中継として使ったのは、Yahoo! JAPANのmyThingsというサービスと、もう一人の講師スミスさんがRaspberry Piを使って手作りしたアンテナです。
余談ですが...
私はどうも、こういったハードウェア系が苦手というか関心がなくて........
アンテナを中心とした通信技術周りは今回、もう一人の講師がメインで用意してくれました。
myThingsやアンテナを経由して、地球からの司令を火星にあるEdisonに送る体験を通じて、ネットワークを通じて情報を伝えるにはずいぶん手間がかかるんだな、ということを実感してもらえたのではないかと思います。
中継地点がたくさんあるということは、送信と受信のやりとりがたくさん発生するということ。
だからその都度、間違いなく情報が伝わるようにインタフェースをちゃんと決めておくことが重要になります。
距離が遠くて、中継地点が多ければなおさら重要になります。
これがつまり
「モノゴトを正しく伝えるためにはインタフェースが大事」
さらに
「間をつなぐものが増えれば増えるほど、インタフェースはもっと大事」
ということです。
ちなみに、このインタフェースの話は例によって人間同士にも言える話です。
アンケートを読む限り、この辺の話が響いた子は少なかったようなのですが、保護者の皆さんにはしっかり届いたようです。
ご家庭に戻ってからも、家族でときどき思い出して会話してくれたら嬉しいなぁ、と思っています。
ちなみに、火星にいるEdisonはいつの間にかこんな姿に変身していました。
もともと車輪がついていたところに設置されているのは、スタッフが手作りしたEdison側のアンテナです。
本業を終えてから夜な夜な、がんばって8個も用意してくれました(笑)
みんなのEdisonが集まると壮観ですね!!
最初は個別のテーブルでEdisonを操作していた子どもたちが、火星の基地にEdisonを集合させると途端に賑やかになりました。
タイヤで動くだけじゃないEdisonの姿をみて、自分なりの工夫で面白い動かし方を発見した子もいましたよ。
ちょっと分かりづらいのですが、こちらは司令コントローラが設置された地球です。
スライドに投影されている画面が男の子の手元のタブレットにも見えていて、ボタンを操作すると火星にあるEdisonが一斉に動作する仕組みです。
いろいろあって、スムーズに...とはいかなかったのですが、離れたところからメッセージを送ってもEdisonが動くことは理解してくれたのではないかと。
司令を送るとこんな感じでみんなのEdisonが一斉に動きます。
このあと、想像以上にうまく進みすぎて時間が余ってしまったので、即席でEdwareを使ったプログラミング講座を開きました。
(無茶振りに答えてくれた講師のスミスさんさすがです!)
そしてさらに、15分ほどの自由時間も作りました。
プログラミングをやってみたい子はEdwareを使って自分でプログラムを作ってOK
ワークシートの課題がやりきれていない子はやり直してOK
ライントレースで遊びたい子は遊んでOK
レゴでEdisonをデコりたいこはそれもOK
自分がやりたいことをやりたいように自由にできる時間を提供したところ、急に子どもたちの目が輝き始めました。
一般的なプログラミングのワークショップは大抵、やるべき流れをだいたい決めておいて、その手順通りにやって、最後に自分の作品を作っておしまい、という形になっています。
子どもたちの興味関心がどこにあろうと教える側の都合で体験の場を作っているんですよね。
プログラミングをやりたい子もいるし、単にEdisonを動かしたい子もいるし、レゴブロックでカッコイイEdisonを作りたい子もいる。
子どもたちの興味関心を尊重してみたら、みんなすごく楽しそうに過ごしていましたし、どこに関心をもつのか、主催側が予め想定できていなかったものも見えてきました。
そして、Edisonはいろんな楽しみ方ができるところに大きな魅力があると実感した瞬間です。
なかなか、こんな教材はないと思います。
Edwareをあっという間に習得して自分でプログラムを作っていた子どもたちもすごかったけど、ずーっとレゴブロックでデコレーションしていた子もまたすごかった。
最後にみんなで記念撮影。
(写っていない子がいた...ごめんね(T_T))
Edisonが端末によっては少し動作が不安定だったり、myThingsを使った通信は排他制御できなくてメッセージがうまく捌ききれなかったり...
いろいろと課題があったのですが、初めてのワークショップにしては上出来だったのではないかと思います。
とっても楽しかったし、参加者の皆さんからも良い評価を頂けたので。
なんとなんと、さっそく次回を企画してしまいました!
8月19日(土)虎ノ門で実施します。
告知ページを早急に作ってご案内しますね!!