探究型プログラミング学習(探プロ)

プログラミングの考え方を学んで、未来を創る力を手に入れる

プログラミングの考え方を学んで未来を創る力を手に入れる

【ワークショップレポート】2017.01.21 楽しい家をつくろう!

更新がずいぶんと遅くなってしまったのですが...

今年の1月に実施した、幼児向けのワークショップレポートです。

【満員御礼】★幼児対象★littleBitsでプログラミング体験!楽しい家をつくろう! ☆探プロ!☆~デジタルハイク vol.9~

 

ちょっとしたきっかけがあって幼児向けのコンテンツを開発することになり

トライアルのワークショップを皆さんに体験して頂きました。

場所はいつもの日の出ファクトリーさんで

機材協力はデジタルハイクさんです。

いつもありがとうございます!

 

幼児向けには初、探プロとしては久しぶりのワークショップでしたが

おかげさまで大盛況に終わりました。

 

2歳から6歳までの12名と 助っ人参加の0歳と9歳、そしてスーパーアシスタントを務めた(笑)我が娘の計15名のお子さんたちが集まりました。

年明けという時期にも関わらず、なんと全員参加!!

主催者としてこれほど嬉しいことはありません。

 

元気なちびっ子たちのおかげで、準備前は寒かった会場もあっという間に熱量が上がって暖まりました。

大人の方も見学者を合わせて17名となり、部屋の中は熱気でいっぱい。

わずか60分という短時間でしたが、とっても充実したワークショップとなりました。

 

前半は、littleBitsを使って子どもたちとアルゴリズムの学習をしました。

幼児の皆さんが楽しめるように、ゲーム形式で進めます。

タイトルは「バグをさがせ!」

 

IT系に携わっている方ならピンとくるかもしれません。

バグとはあのバグ(bug)のことで、このゲームはデバッグを体験するものなのです。

デバッグとは?

プログラムが意図しない動きをするとき、エンジニアたちはプログラムに「バグ(bug)」がある、と言います。その原因を突き止めて修正し、正常な動きに戻す作業(=バグを取り除くこと)が「デバッグ」です。

プログラミングをする上でデバッグはストレスを感じるものですが、思考力を鍛えるには非常に有効な手法です。特に、デバッグに求められる効率の良さは学習効果を高めます。

具体的には、経験を重ねることによって筋の良い仮説が立てられるようになり、問題解決力UPに繋がります。さらに、仮説と検証を高速でくり返すことによって、論理的思考力UPにも期待できます。

このゲームでは、バグを探して皆んなで退治します。

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動くはずのlittlebits回路が動かない。

それはどこかでバグが悪さをしているからだ!

バグを退治してちゃんと動くようにしてあげよう!

といった感じです。

 

幼児向けにデバッグを伝えるイメージはこちらに詳しく書いています。

 

 

初の試みだったこともあり、ちびっ子相手のデバッグはなかなかやり甲斐がありまして...

用意した問題の3割ほどしか解決できなかったのですが、子どもたちの表情がとっても真剣だったのが印象的でした。

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littlebitsの使い方をなんとなく理解したあとは、ダンボールを使って家を作ります。

今回はこちらのダンボールを使いました。

組み立てるだけで家の形になる上に、なんと配送もできてしまうという優れものです。

子どもたちがlittlebitsで学習している間に、保護者の方々に組み立てて頂きました。

その方がお互いに時間を有効活用できる...

という狙いだったのですが、ここは要改善です。

 

デバッグの考え方を家庭でも応用してもらうためには、保護者の方もlittlebitsの学習を一緒に体験してもらった方が良さそうでした。

 

子どもたちと合流して親子で工作に取り組み始めると、中には作品の取り合いをする家庭も(笑)

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終始和やかに進み、会場の雰囲気にも馴染んでとっても素敵な光景でした。

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そして、仕上がった家を並べたのがこちら!

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素敵な家が並びましたね!

どの子も満足そうに作品を持ち帰って、中には自宅でさらに手を加えた子も!

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幼児対象では恐らく1時間が限度だろうとは思っていたのですが、実際にやってみると、ちょっと物足りない...というくらいでちょうど良かったようです。

 

littleBitsを使った学習時間をもう少し確保したい、でもそれだけだと飽きてしまうし… バランスがなかなか難しいのですが、引き続き試行錯誤していこうと思います。

 

今回やってみて、このコンテンツは親子で学ぶプログラミング学習の超導入編として良さそうだと分かりました。

アルゴリズムの基本的な考え方を身につけてから、本格的なプログラミングに入れると良いですね。

 

プログラミングをやらなくても、問題解決力の基礎として、デバッグのような手法が身についていることは将来きっと役に立ちます。

参加者の皆さんにお配りした資料にも書いたのですが、デバッグは思考力を身につけるのにとても良い手段なので 是非、家庭でもやってみてほしいです。

 

パソコンや高価なプログラミング教材がなくても、プログラミングの学習を通じて思考力を身につけることは可能 ということを少しでもお伝えできていると良いのですが。

 

60分の学習プログラムですが、30分ずつ区切ってもできます。

大人向けのイベントの傍らで、保育がてら子ども相手にワークショップ、というのもありですね。

いろいろ使い勝手は良さそうです。

興味のある方はご連絡ください。

 

ご参加頂いた皆さまありがとうございました!

 

 

【コラム】探プロが解決したい社会的課題とは何か?

先日、あることをきかっけに、Theory of changeという考え方を知りました。

What is Theory of Change? | Theory of Change Community

 

簡単にいうと、解決したい社会的課題の構造と、その課題に対してとろうとするアプローチを、簡潔に第三者と共有するためのフレームワークです。

 

探プロとは何か?

ということを何度もこのBlogで書いていたものの、なかなか簡潔に表現しているとは言えず困っていたのですが

このフレームワークに従って描いてみたら、ずいぶんとスッキリ表現することができました。

 

まず、探プロが解決したい社会的課題というのはこれです。

次世代の子どもたちの新しい教養として期待されているプログラミング学習は、”プログラミングのやり方”を学ぶスタイルが大半であり、技術的なスキル修得に特化していたり、学習環境を整備するハードルが高かったりして特定の関心のある子以外には継続した学習になかなか繋がらない。 

この課題に対して、探プロではこのように向き合っています。

“プログラミングの考え方”を学んでモノゴトの本質を見極める力を身につけ、その力を社会のあらゆる場面で応用し、思考力、技術力、コミュニケーション力の強化へと繋がる学習機会を広く提供することで未来を創造する子を育成する。

 

これを、課題の構造と解決のためのアプローチといった観点から図式化すると次のようになります。

 

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3年前に、子ども向けプログラミング教育の話を見聞きしたときからずっと私自身は課題だと思っているのですが

世の中ではあまり、そう捉える人が多くないようです。

プログラミングを学ぶ=プログラミングのやり方を学ぶ

といった固定概念を、まずは変えるところから試みないと、せっかくの子どもたちの学びが、非常に視野の狭いものになってしまう。

そんな危機意識が探プロの活動の原動力となっている、ということに

あらためて気づくことができました。

 

いずれまた、この辺を掘り下げて考えてみたいと思います。

【ワークショップレポート】チャイルドハッカソン#01 DAY3 2/2

3月の3連休に実施した、金沢工業大学での子どもハッカソン

レポートもいよいよ最終回となります。

 

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ちなみに、この↑紙は、最終日の最後に、ハッカソンのプレゼンをやるというので

子どもハッカソンチームも、どさくさに紛れてプレゼンすることになり作ったものです。

急いで、しかもクレヨンで描いているので見苦しいのですが...

 

私が描きあげると即、子どもたちが隣でデコレーションしてくれて

手作り感いっぱいのプレゼン資料ができました。

こういうのもいいですね~

 

プレゼンの時間には1人しかちびっこがいなくて寂しかったけど...

タイトルの下に、「いっしょうけんめいつくりました」のメッセージもを残していってくれました(^^

 

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2020年を機に、国内外からたくさんの人が東京を訪れることになるはずですが

そのとき、金沢の街はどうするか?

放っておいても、金沢まで足を伸ばす観光客はいるだろうけれど

一緒に連れてこられた子どもたちは、金沢の街をどんなふうに楽しむのでしょう?

 

大人が想像できないなら子どもに聞け

ということで、子どもによるオリジナルガイドツアーを作ります。

 

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ポイントは、「オリジナル」であること。

ホスト役を務める金沢の子どもたちは、ゲストの子どもたちのニーズに合わせて

その場でオリジナルツアーを組み立てるのです。

 

ちなみに、ちょっと分かりづらいかもしれないので解説しておくと...

 

今回の子どもハッカソンを探プロで実施するにあたり

子どもたちの作品と、その背景にあるコンセプトのセットで成果物と捉えています。

 

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探プロの学習フレームワークで説明すると

金沢とオリパラ、をモデリングしたことによって、まずコンセプトが生まれました。

そして次は、それを実現する方法を考えるわけですが、今回は参加スタイルの関係で

私がメインで考えることになりました。

(環境が許せば、参加者と一緒に考える方がずっと面白いと思います)

 

インプットは3つ。

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そして、アウトプットはもちろんオリジナルガイドツアー。

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となると

インプットを条件にして行き先を決め

ツアーを組み立てる部分が肝となるのですが、これがアルゴリズムを考えることそのものなんですね。

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行き先となるスポットごとに、特徴を表すタグと所要時間を設定するようにしました。 

 

例えばもし、インプットがこんな感じだったら...

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 工程はこんな感じでしょうか。

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ちなみに秘密のスポットというのは、ホスト役の子どもたちが知っている

地元の子どもしか知らないような見所のことです。

所要時間が微妙に余ったら、こういうのを組み合わせると面白そうです。

 

他にも、欲張っていろんな種類を体験したい!

というニーズがあれば、繰り返しをやめて、行き先を増やすのかもしれないですし

雨なら室内で遊べる行き先に変更することもあるかもしれません。

 

アルゴリズムとして面白いのは、日によっては施設が休館日だったり

ある場所へ行ったら思いのほか楽しくなって動きたくなくなってしまい

以降の行き先は全部キャンセル

などというイレギュラーケースもありえることです。

 

ガイドツアーのアルゴリズムとしては、こうした想定外のケースも全部

事前に想定したケースとして対応方法を考えておかなければいけません。

大人のように、臨機応変というわけにはいかないですから...

  

プログラミングを体験したことのない人にはピンとこないかもしれないですが

実際に、エンジニアの人たちが設計しているのは結局のところこういう話なのですね。

嘘だと思ったら、周りのエンジニアに聞いてみてください。

旅のシナリオを考えることも、立派なプログラミング学習なんです

 

さて、こんな感じで実現方法を決めたら、あとは実現するだけです。

というわけで、子どもたちには行き先であるスポットを作品として作ってもらいました。

(ガイドツアーの組み立てのところも、本当は作品として取り込みたかったのですが、今回はできませんでした)

 

 

最後に、この作品とオリパラの関係を少し補足しておきます。

 

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オリパラの目指すところといえば、持続可能性です。


子どもハッカソンとしては、この作品が『持続可能性』に沿っていることをアピールすることによって

初日にオリパラ課の課長さんが仰っていた

スポーツと文化と教育の祭典

という文脈に乗れるようにしました。

 

 

単なる工作ではなく、単なる子どもの社会体験でもなく

ホスト役の子どもたちが地元について学ぶ機会でもあり、そこから地元への愛着が芽生え、もっと知りたいと思える循環が1つ。

そして、そこで学んだことを金沢を訪れた子どもたちに伝えることによって

伝えられた方の子どもたちも金沢に関心をもち、いずれまた訪れたいと思える循環が1つ。

 

この2つの循環を継続させることによって、金沢を中心とした持続的な文化交流と学びの場を作ります。

 

しかも、やりながらプログラミングの考え方も学べてしまうというお得な試み(笑)

 

もちろん、これは金沢に限らず、いろんな地域で応用できる考え方なので

オリパラを機に是非、どこかで採用してもらえないかなーとも思っています。

 

 

最後におまけの1枚。

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プレゼン待ちの時間を持て余した3人と、抽象化の勉強をしてみました。

公園にあるものを、自分たちで考えて分類してもらいます。

 

ちなみに、私はこの絵を適当に選んでいるだけなので。。。

分類できないものがあっても、それは仕方がないと思っているのですが

 

「その他」の分類はナシだよー

 

と意地悪を言うと、子どもなりに一生懸命に分類をし直したりして

その思考の試行錯誤を見守るのがとっても面白かったです。

 

 

3日間、本当に素晴らしい時間を過ごすことができました。

関係者の皆さまに心から感謝します。

@tanpro-lab