探究型プログラミング学習(探プロ)

プログラミングの考え方を学んで、未来を創る力を手に入れる

プログラミングの考え方を学んで未来を創る力を手に入れる

【レポート】問題の見つけ方と問題解決のしかた 1/2 北区立袋小学校 2017.10.14

朝から傘の必要な土曜日、スタッフの集合は8時(!)。

校門にいると、元気な子どもたちが次々と登校してきました。

小学校の朝ってこんなに早かったんですね!?

 

東京都北区にある袋小学校にて、6年生の総合学習の時間を使ってちょっとした講義+littleBitsを使ったワークショップをやらせて頂きました。

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お題は『問題の見つけ方と問題解決のしかた』。

最初にお話を頂いたときには、プログラミングに関する話とlittleBitsの体験を、ということだったのですが、よくよく聞くと、この学校の6年生はある壮大なテーマ学習に取り組んでいて、そのテーマに絡めた方がずっとずっと価値のある学びを提供できるのではないか?

と思いました。

 

6年生が取り組んでいる壮大な学習とはなんと、SDGs

http://www.unic.or.jp/files/sdg_logo_en-640x452.png

2030アジェンダ | 国連広報センター

 

地球規模で解決しなければいけない17の開発目標として、2015年に定められました。

単なる目標ではなく、"持続可能な"開発目標、となっているところに大きな意味があります。

善意を提供してその場で終わる問題解決ではなく、その問題解決による効果には持続可能であることが求められます。

 

6年生が、このSDGsをテーマに学習をしていると聞いてびっくりしました。

大人でも知らない人はたくさんいるのに。

 

この学習の一環として、先日はこんな授業があったそうです。

junec.gr.jp

カードとレゴブロックを使って、SDGsの世界を実際に体験しながら学ぶというものです。

私も一度参加したことがあるのですが、このゲームの威力は強力で、地球規模でWin-Winの関係を築くということがいかに難しいことかを痛感することになります。

視点が1つでは足りない。2つでも、3つでも足りない。

ゲームなのに、いまこの問題に私たちはどうすべきなのか?

常に問われて考え続けることになるので終わる頃には放心状態になります(笑)

 

普段は中高生や大人向けに実施しているゲームを6年生が授業として体験したそうです。

そしてこのあと、実際に現地やNPOの方々にタンザニアの問題を実際にきいて、自分たちには何ができるのかを考えることになっているといいます。

 

SDGsがなんたるかを理解し、これからタンザニアの問題に取り組もうとしている6年生に、探プロを手がけている私だからこそできることが何かあるのではないか?

そう考えて、今回のテーマに至りました。

 

プログラミングの考え方を学ぶ、といった枠組みからは大きくはみ出していますが、もともと、プログラミングは問題解決の手段である、ということを伝えたいコンセプトはもっているので、今回はそれを伝えることにしました。

 

そして、問題の見つけ方、に関しては私の本業での経験を活かして、ゼロからオリジナルのコンテンツを作ることにしました。

プログラミング学習だけでなく、問題そのものを捉えることが重要だということも、私自身がとても大切にしていることなので、是非それを伝えたかったのです。

 

そんなこんなで前置きが長くなりましたが、前半は図書室をお借りして6年生80名を相手に「問題の見つけ方」の話をしました。

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先日、4機目が打ち上げられた衛星「みちびき」を例にとって、どうしてこんなものを宇宙に飛ばす必要があったのか?

3000億円もの予算を使うからには大きな問題があったはず。一体何が問題だったのか?

といった話からはじめました。

 

さすが6年生ですね。

1人くらいは「みちびき」のことを知っているかな?

と思ったら、何人も手を挙げていました。

 

日本ではいま、位置情報を把握するのに最大で10メートルほどの誤差が生じるのだそうですが、君たちはそれが問題だと思いますか?

 

自分が問題だと思っていないのだとしたら、誰が問題だと言っているのでしょうか?

 

そもそも、問題ってなんでしょう?

自分が問題だと思わなくても、友だちが問題だといえばそれは問題になりますか?

100人中の99人が問題だと思わなくても、誰か1人が問題だといえばそれは問題になりますか?

 

一般的には、問題とは理想と現実のギャップだと定義されています。

でも大切なことは定義よりも、「誰にとっての問題か?」というところです。

 

これからタンザニアの問題を解決しようとしている君たちは、相手が何を問題だといっているのかをちゃんと知らなければいけない。

自分が解決したいことに注目するのではなく、相手が解決したいことに注目しなければいけない。

 

問題が何であるか?が分かったとして、じゃあその問題はどうすれば見つけられるのか?

 

問題だ問題だ!

と言っている人たちに話を聞いていくと、たくさんの「問題」が出てくるはず。

その全てを皆さんは解決するのですか?

 

時間(もお金)も有限だとしたら、その貴重な時間をどうやって使いますか?

 

解決すべき最も"だいじな問題"に取りもう。

今回のタンザニアのケースでは、その問題を解決することで

・たくさんの人が喜んでくれる(影響度大)

・すぐに喜んでくれる(緊急度大)

そんな問題のことを、"だいじな問題" と捉えることができる。

 

自分にとってとても"だいじな問題"に取り組んで、自分自身が満足する。

そんな問題解決ももちろんあるけれども、今回のケースでは、こんな形で考えることができる。

 

大人の世界では、問題を捉え間違えることで起きる悲劇がたくさんあります。

せっかく作ったのに、「こんなものがほしかったわけじゃない!」と怒られることがあります。

 

君たちにも経験があるかもしれない。

良かれと思ってお父さん、お母さんのお手伝いをしたのに、逆に怒られてしまったりとか。

(実際にあった、とその後のアンケート回答に書いた子がいました(笑))

 

そういう悲劇をうまないためにも、問題を見つけるということはとても重要なことなのです。

問題解決を自己満足で終わらせてはいけない。

 

 

こんな話をして、最初の30分が終了。

 

朝一だったので、はじめの頃は欠伸をしている子がちらほら。

でも最後は全員が真剣な表情で話を聞いていました。

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次は場所を移動して、問題解決のしかたについて学びます。

dig-learning.hatenablog.com

@tanpro-lab