探究型プログラミング学習(探プロ)

プログラミングの考え方を学んで、未来を創る力を手に入れる

プログラミングの考え方を学んで未来を創る力を手に入れる

【レポート】プログラミングで問題解決~ポストはなぜ赤いのか?~ 3/24 K.I.T.虎ノ門大学院 2018.03.24

先週末に実施した、プログラミングワークショップのレポートです。

【見学枠のみ受付中】★探究型プログラミング学習★プログラミングの考え方を学んで問題解決!~ポストはなぜ赤いのか?~ | Peatix

 

2018年3月24日(土)の午後、桜が咲き始めた虎ノ門に8名の小学生が集まってくれました。

会場は、 母校である久しぶりのK.I.T.虎ノ門大学院です。

 

タイトルは、先日、北区の小学校でやらせてもらったものと同じ『ポストはなぜ赤いのか?』。

【レポート】プログラミングで問題解決~ポストはなぜ赤いのか?~ 1/2 北区立桐ヶ丘郷小学校 2018.01.19 - 探究型プログラミング学習(探プロ)

f:id:dig_learning:20180401235554j:plain

桐ヶ丘郷小学校でやったときは、45分間しかなかったので概念の理解に留まりましたが、今回はさらに45分を追加して、学んだ考え方を実際の問題解決に使ってみるところまでチャレンジしました。

 

2時間のワークショップの流れは

問題の発見⇢問題解決のしかた⇢アルゴリズムの学習⇢問題解決の実践⇢発表

です。

使う教材は今回もlittleBits。

 

今回は見学者の方にもたくさん来て頂き、保護者の方たちと一緒に子どもたちが学ぶ様子を見守って頂きました。 

f:id:dig_learning:20180401234519p:plain

f:id:dig_learning:20180401232524p:plain

いざ始まってみると、ちょっと緊張した空気が張り詰めて皆、真剣な表情で話を聞いていました。

f:id:dig_learning:20180401232631p:plain

いつもの教室で授業をきくのと違って、初めての場所で初めて出会う子たちと一緒に突然、和気あいあいとって無理ですよね。。。

もうちょっと、最初にリラックスする仕掛けがあると良かったかなぁ、と反省です。

 

でも、ワークショップ中に話のメモをとってくれる子たちがたくさんいて、探プロを始めて以来のできごとにちょっと驚きました。

真剣な眼差しを受けて、気合を入れ直しましたよ。

 f:id:dig_learning:20180401233323p:plain

人間は命令されても出来たり、できなかったり、なのに、コンピュータはいつも必ず同じ結果を出すことができる。

コンピュータと人間の違いってなんだろう??

f:id:dig_learning:20180401232720p:plain

コンピュータと同じように、人間にもアルゴリズムがあれば、私たちは忘れものだってなくすことができるんじゃないか?!

アルゴリズムを使えば身近な問題を解決することができる、という話がすごく印象的だったとアンケートで答えてくれた子がいました。

そうやって気づいてくれる子が一人でも増えてくれたら嬉しいです。

 

考え方を学んだら、実際にlittleBitsを使って手を動かしながら理解を深めていきます。

f:id:dig_learning:20180401232809p:plain

littleBitsを使う場面では、今回TAとして二人の小学生(4年生、3年生)が活躍してくれました。

半分以上がlittleBitsを初めて触る子たちだったので、動かし方につまづいたときにさりげなくサポートをしてくれました。

大人と子ども、ではなく子どもと子どもの関係性の中から、お互いに学ぶこともあると思います。

同世代が頑張っている姿は刺激になったのではないでしょうか?

f:id:dig_learning:20180401232854p:plain

 

アルゴリズムの考え方、問題解決の場面での使い方を理解した後は、いよいよ実際に使ってみます。

明治時代から現代にかけて、ポストはいろんな問題を解決しながらいまの形に変化してきました。

では、現代のポストにはもう、問題はないのでしょうか?

f:id:dig_learning:20180401233047p:plain

一般的なポストには入口が2つあるけれど、人間が判断しなければいけないのでちょっと大変です。

ときどき、間違えることもありますよね?

もしかしたら、大して気にせず適当に放り込んでいる人もいるかもしれません。

 

ではこの問題を、アルゴリズムを使って解決してみましょう。

 

君たちはいま、郵便ポストの中にいると想像してください。

このポストには、入口は1つしかありません。

いま、封筒やハガキ、大型郵便など、いろんな郵便物がどさっと入口から投函されたとします。

ポストの中には、「手紙・はがき」と「大型」の2つの袋があります。

f:id:dig_learning:20180402001447j:plain

さぁ、どんなアルゴリズムがあれば、いつも必ず、同じ結果(仕分け)を出すことができるでしょうか?

隣の子とペアになって、考えてみよう。

f:id:dig_learning:20180401233146p:plain

楽しそうに会話を進めるペアもあれば

f:id:dig_learning:20180401233402p:plain

一人ずつ考えると決めたペアもいたり

f:id:dig_learning:20180401233513p:plain

定規を使って封筒をはかってみたり、littleBitsを使って動く仕組みを考えてみたり

f:id:dig_learning:20180401233543p:plain

考えたアルゴリズムは、二人で協力して図解します。

f:id:dig_learning:20180401233258p:plain

フローチャートを使って書くと、他の人に伝えるのが楽になる、という話をしたものの、書き方は自由としました。

かっこよくフローチャートが書けるのも良いのですが、今回は本質ではないので。

代わりに、どんなスタイルでも良いから、順次構造、くりかえし構造、分岐構造の3つのアルゴリズムを使っていることが分かるように書くことをお願いしました。

f:id:dig_learning:20180401234422p:plain

 

そして最後は、ドキドキの発表。

トップバッターは3年生の男の子。

ペアにはならず、一人でやり遂げた彼のアルゴリズムをきいて、大げさではなく私は腰を抜かしそうになりました。

f:id:dig_learning:20180401233702p:plain

完璧でした。すごい。

発表スタイルも完璧。あまりにも出来が良くて、このあとの子たち大丈夫かしら??と心配になるほどでした。

もちろん、そんな心配は無用でしたが。

 

次はこちらの4年生ペア。

最初はなかなか会話が進まなかったのですが、考える順番を伝えてきっかけを作ってあげたら、すぐに書き始めることができました。

シンプルなアルゴリズムですが、しっかり発表できたところはさすが4年生です。

f:id:dig_learning:20180401233755p:plain

続いてこちらは、考えるときに一番動いていたペアですね。

私が持ち込んだ郵便物を、手で触ったり長さをはかったりしながら一生懸命に考えていました。

f:id:dig_learning:20180401233855p:plain

おもしろいのはここからで、彼らは唯一、littleBitsを使ってある仕掛けを作ったのです。

f:id:dig_learning:20180401234019p:plain

ポストの中を郵便物が通過するとブザーが鳴る仕掛けです。光センサーを使って作りました。

きっかけは、ポストに投函しても、入口でつかえていることに気が付かないことってよくありますよね、という話でした。

中までちゃんと郵便物が入れば音が鳴って知らせてくれるこの仕組みは、とても良いセンスだと思います。

何より、チャレンジしたところが素晴らしい!

 

そしてこちらはTAペア。

すごくユニークな発想で問題を解決しました。

f:id:dig_learning:20180401234118p:plain

他のペアは郵便物のサイズを1つずつ測って判断しているのですが、彼らが用意したのは15cmの穴。

大型郵便はこの穴を通ることができないので、どさっと郵便物が入ってきても、穴を通過しないものを大型として振り分けてしまえば、一瞬で片付いてしまいます。

 

アルゴリズムを考えるとき、どうしても緻密に細かく定義しがちなのですが、こうやって頭を柔らかくして発想することができれば、もっと簡単に解決できる手段があるわけですね。

勉強になります。

 

続いて女の子ペア。

8人中、女の子は2名でしたが、意図的にペアを組んだわけではなく、全くの偶然です。

なぜなら、探プロのワークショップでは申込時に性別を聞かないので、当日まで分からないのです。

私は、プログラミング学習に性別は関係ないと思っているので、変なバイアスをかけないようにあえてそうしています。

二人ともよく考えて抜いていました。

f:id:dig_learning:20180401234215p:plain

 

そして最後は3年生の男の子。

発表は苦手のようでしたが、littleBitsの使いこなしは見事でしたよ!

f:id:dig_learning:20180401234334p:plain

 

保護者のアンケートの中には、子どもたちがしっかりと理解していて驚いた、という回答がいくつかありました。

そうなんです。今回のお題は簡単なようで意外と難しいのです。

 

私自身も、半分くらいの子が最後までたどり着ければ良いかな、と思っていたのですが、実際にはパーフェクト!

前半の話をしっかり理解して、論理的思考を使ってアルゴリズムを考えることができていました。

小学生を侮ってはいけませんね。本当にびっくりです。

 

最後に、保護者と見学者の方からのアンケート回答の一部をご紹介します。

"考え方を学ぶ"という軸をぶらさずに、授業をやりきることの価値をあらためて感じました。 

 

"考える"という軸がブレずに講座が進行しており、いわゆるプログラミング講座の、作って動かす、楽しかった、というモノとは一線を画す印象です。 

 

いわゆるモノの楽しさ、集中度に比べると見劣る部分はありますが、続けることで得られる学びは今日のほうが圧倒的に高いであろうと思いました。 

 

私よりも子どもの方がよく理解しているということを実感しました。身近な問題とプログラミングの関係が分かりやすくてとても良かったです。 

 

最後のまとめで、ハンドブックに書いてある考え方は、家や身近なことにも使えるので考えてみてください、というメッセージがあったのが良かった。

 

今回のワークショップでは、プログラミングの考え方を学ぶこと、その考え方は日常生活での問題解決に活かせること、をちゃんと伝えることを目標にしていました。

なのでlittleBitsを使う時間は最小限にし、考える時間をたくさんとっています。

 

そうすることで、私がやりたいことは実現できます。

でも一方で、子どもたちがワイワイと楽しむ時間や、試行錯誤しながらモノを作り上げていく体験は減ってしまいます。

地味で、楽しさがなんとも伝わりづらいこのワークショップ形態を、一般の方にも受け入れてもらうことができるだろうか???

コンセプトには自信を持っているものの、開始前は本当に不安で仕方がなかったです。

 

ところが、やってみれば結果は想像していた以上に良くて安心しました。

子どもたちのアンケート回答では、特に面白かったものとして、littleBitsの次に多かったのが「アルゴリズムを使った問題解決」でした。

また、アルゴリズムの考え方を学べたことが面白かった、と回答している子もいました。

 

最後の発表が苦手だった子も中にはいましたが、保護者や見学者の方からは大変良かった、とご意見を頂きました。

2時間のワークショップの中で、お子さんたちが何を学び、どれだけの成果が出ているのか?

やはり発表をきくことで一番実感することができるので、このステップは重要ですね。

発表嫌いな子でも楽しめるような仕組みをなんとか、考えたいと思います。

 

終了後にTAの二人と記念撮影。

f:id:dig_learning:20180401234626p:plain

とってもよく頑張ってくれました。

お礼に差し上げたのは、貼るだけで何でも定規になっちゃうマスキングテープ。

これでいつでもどこでも測れますね!

 

探プロでは今後、プログラミングの考え方を理解し、ワークショップを盛り上げてくれる子どもたちをTAとして育成したいと考えています。

ワークショップに参加したお子さんの中で、今度は教える側にまわってみたい、という子がいたら是非ご連絡ください。

きっと良い経験になると思います。

 

最後に、次回のご案内です。

5月20日(日)午後、K.I.T.虎ノ門大学院にて実施します。

テーマは『変身する公園をつくろう!』

利用教材はlittleBitsです。

創造的思考とプログラミング学習を組み合わせ、単なる工作ではなく次回も「考えること」を重視した形を追究していきます。

告知サイトは近日中に用意しますので、もうしばらくお待ち下さい。

 

ご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました!

今回、学んだ内容を是非、ご家庭でも実践してみてくださいね。

身近な問題解決に使ってみたよ、というお話もお待ちしています!

@tanpro-lab