探究型プログラミング学習(探プロ)

プログラミングの考え方を学んで、未来を創る力を手に入れる

プログラミングの考え方を学んで未来を創る力を手に入れる

シニアが子ども向けのプログラミング本を読んでもピンとこないワケ

子ども向けのプログラミング教育って

・何の役に立つのか?(我が子をプログラマーにしたいわけではないのだが?)

・プログラミングをやっておくと、どんな良いことがあるのか?

・そもそも、教育の効果はどうやってはかるのか?

などなど。

 

面倒くさい話が多いんですよね。。。

教育、と言った途端にそんな話になってしまう。

 

わたしは本業でずっとIT業界にいるので、お金を得る手段としてプログラミングの技能を身につけている人たちが周りにたくさんいるわけですが

キャリアを重ねても個人的にプログラミングを嗜んでいる人たちもいて、そういう人たちは皆、「プログラミングを楽しんでいる」のですよね。

純粋に、楽しいからやっているし、続けている。

 

個人的には、子どもだって、やりたい子は思う存分やればいいし、やりたくない子はやらなければいい、と思っています。

興味のない子でもそのうち、関心をもつことがあるかもしれないのだから、お膳立てなんかしなくても放っておけばよいのに、とも。

 

とはいえリテラシーという観点からみると、ICT機器や技術に触れて、知っておくというのは今の時代に合っているので、学校教育の場では、リテラシーとして修得するところに特化すれば良いのに、と思っています。

 

そんな子ども向けのプログラミング教育をモヤモヤしながら見ていると、若宮さんのような事例はとても清々しくて良いなぁ、と思ってしまいます。

ないから作ろう!

と思えるモチベーションがまず素敵だと思うし、最後まで作りきるところもまた素敵。

 

世の中にある子ども向けプログラミングコンテンツの多くは、だいたい「作るもの」を大まかに決めておくことが多いようです。

そうしないと、教える側が大変ですしね。

 

だから、「自分はこれを作りたい!」というモチベーションというよりも、「ミッションをクリアしたい!」というモチベーションになるのだと思います。

それはそれで良いのですが、解決する問題を自分で発見する、というところが抜け落ちてしまうのは、とてももったいないことだなぁ、と感じます。

 

基礎的な学習を済ませた子どもたち向けには、ハッカソンとかコンテストの場を増やしてあげると良さそうですね。

 

プログラミングはどうしても最初の取っ付きにくさがあって、子ども向けに柔らかいタッチで内容を紹介をする本やTV番組などが増えているわけですが

若宮さん曰く、それは「小学生だからわかる」のだそう。

 

これはちょっと、分かる気がします。

子ども向けのプログラミング本を読んでいて感じるのは、大人向けの説明を言葉を変えて「わかりやすく」書いているものが多いなぁ、ということです。

極端に言えば、漢字を平仮名に置き換えている、くらいな印象もあります。

要するに、本質的には大人向けの説明と同じなので、難しいことが難しいまま書かれているんですよね。

あれほど評判になった『ルビィのぼうけん』ですら、私には「分かりやすい」とは思えませんでした。

 だから、この本で伝えたい本質は何か?を解説しようと超訳、を書き始めたわけですが...


若宮さんの「台所」や「料理」の例はその点、とても分かりやすいです。

本質を突いてる。

(料理経験の少ない高齢の男性向けには、あまりピンとこない説明かもしれませんが...)

 

大人は未知のものに出会ったとき、それは一体何か?とまず概念を捉えようとする。

だから、プログラミングとは何か?を真面目に説明するか、代わりに料理のような比喩を使って説明することが有効です。

 

でも子どもには今ひとつ伝わらない。

10歳くらいになってようやく、モノゴトを概念で捉えられるようになる、と聞いたことがあります。

そうなると、最初にいくら、身近な例を使って概念を説明してもピンとこないわけなので、まずはやってみましょうか、となります。

その上で、ループの考え方って洗濯物を干すときの考え方と同じですね

という話が伝わるようになる(はず?)。

子どもたちはプログラミングを難しいものではなく「遊びツール」の1つとして捉え、まずは使って試行錯誤しながら覚えていくのでしょうし

シニアの方々は、プログラミングとは料理のようなものである、といった全体像を捉えた上で、1つ1つの意味を、あぁ、あれと同じなのね、と納得しながら理解して覚えていくのでしょう。

 

大人向けと子ども向けのプログラミング教育って違うよなぁ、

と漠然と考えていたことが、少し整理できたような気がします。

 

やっぱり、大人向けのプログラミング教育の文脈で子ども向けのコンテンツを作ってはいけないのですよねぇ。

逆も然り。

 

いろいろ考えていたら、シニア向けの探プロもやってみたくなってきました。

【お知らせ】イベントのご案内(11月-2月)

気づけばもう今年も終わり....

あっという間の一年でした。

 

本業が忙しいのと、子どもたちの行事など、何かとイベントが多い季節ということもあってなかなか企画できていないのですが、11月から2月の予定はこんな感じです。

 

■11月26日(日)

第2回いたばし未来対話「未来の学校づくり」

イベントの傍らで参加者のお子さん向けにlittleBits体験コーナーを用意します。

ミニミニワークショップもやる予定。

 

■12月17日(日)

探プロ感謝際!!!@五反田

探プロを応援してくださった皆さまに感謝を込めて企画します。

詳細は近日中にご案内します。

 

■1月21日(日)

公園をつくろうリバイバル編@赤羽

久しぶりの「公園をつくろう」です。

こちらも詳細は近日中に!

 

■1月 or 2月某日

(仮)R2ユニットでゲームしよう!

まだ日にちも場所もコンテンツも決まっていませんが、例のDROID KITを使ってプログラミングの考え方を学びながらゲームをすることだけは決まっています。

日時が決まり次第ご連絡します!

【WSレポート】2017.11.05 littleBitsワークショップ@沼津 午後の部

お昼を挟んで、午後はlittleBits経験者向けにアルゴリズムを学ぶワークショップです。

 

f:id:dig_learning:20171107204202p:plain

最初に簡単なミニ講座をやってlittleBitsの使い方を思い出してもらい、アルゴリズムとは何か?をレクチャーしました。

 

踏切の例を使って、アルゴリズムとは「順番とルールを決めて「命令」を組み合わせること」であることを知ってもらいます。

 

この辺は小学生にはちょうど良いレベルのようで、すんなりと理解してくれました。

そして、littleBitsブロックの組合せもアルゴリズムで説明できることを伝え、単に繋げるのではなく、アルゴリズムを意識しながら使ってみようと促しました。

 

午後の部ではレゴブロックを使って工作します。

今回は未来の街にあるものを自由に作ってもらいました。

 

午後の部は13名の参加だったのですが、最年長は5年生でした。

そして、この5年生の女の子たちが素晴らしい想像力の持ち主で、ワークショップを盛り上げてくれたのですよね。

 

これまでの経験では、小学校高学年の女の子はlittleBitsに対して興味をもってくれないことが多かったのですが、今回は違いました。

最初から最後まで、ずーっと和気あいあいと工作を進めていて、なかなか斬新な作品を作っていましたよ。

 

こちらは絶叫(!)メリーゴーランド。

f:id:dig_learning:20171107205115p:plain

↑が完成すると、サーボモーターを2つ使って回転する立派なメリーゴーランドになるのですが、その動きが怪しくて(笑)

振り落とされまいと必死にしがみついている人形の様子がなんともシュールでした。

お姉さんたちは盛り上がっていたけど、小さい子たちにはちょっと見せられない...

 

こちらもお姉さんの作品。

f:id:dig_learning:20171107205517p:plain

未来のトイレ。

どの辺が未来なのかの解説はわけあって(笑)割愛しますが、よく考えるなぁと。

 

彼女たちが偉いのは、おふざけで作っているように見えて、ちゃんとアルゴリズムで発表できるところです。

とってもよくできていました。

 

 

ところで今回の遠征では、大人のスタッフの方がたくさん入ってくださったのですが、もう一人、私にとって強力な助っ人がいました。

4年生の息子です。

前日の準備から大張り切りで手伝ってくれて、当日もあちこちのテーブルをまわってサポートしてくれました。

 

回を重ねるごとにサポートがうまくなっていて感心するのですが、今回は2つ、彼のおかげで助かったことがありました。

 

1つは、お昼休みの間に仲良くなった同学年の男の子に、littleBits+レゴブロック+ギアを使って車を作る方法をレクチャーしていたことです。

息子の作ったサンプルを見ながら、あっという間に使い方をマスターしたその男の子は、午後の回の短い時間の中で、ありもののブロックとギアだけを使ってみごとに動く作品を完成させました。

 

実はワークショップ後半に、その男の子は同じサイズのギアが手に入らなくて困っていて、私のところへ相談にきました。

そこで、他の子と交渉して欲しいサイズのギアを手に入れるか、残っている最小サイズのギアを使うか、のどちらかを選択肢として提示して、その後は任せていたのです。

そしたらなんと、最終的に最小サイズのギアを使って自力でやり遂げたのですよね。

 

相談にきた時点で残り時間は10分足らず。

諦めずによくやりきったと思います。感動しました。

 

もう1つ助かったことは、小学生に混ざって参加していた年長の男の子を息子がフォローできたことです。

サンプルとして作っていたギアで動く車を見て、自分も作ってみたい、自分は飛行機を作りたい、という男の子。

そこで、彼を息子のところへ連れていって、彼の望みを叶えるためにサポートするようお願いしました。

f:id:dig_learning:20171107210306p:plain

そして、ここも終了時間まであと10分足らず。

どうなることかと思いましたが、ちゃんと完成しました。

f:id:dig_learning:20171107210732p:plain

羽が重いけど...なんとか動いていましたね。

 

この2つのことを通じて、探プロにはある副次的効果があることを実感できました。

ワークショップでは工作の時間がだいたい30分~40分ほどしかありません。

その中で、初めて触るlittleBitsを使って、littleBitsとレゴブロックを組み合わせて作品を作るわけですが、これは意外と難しいことなのです。

 

保護者のアンケートではときどき、レクチャーをちゃんとしてから始めないことへの不満や、レゴブロックに慣れていないので出来ないのは仕方がない、といった感想を頂くことがあります。

また、今回のワークショップでもうまく仕上げられずに悔しい思いをしていた子が何人かいました。

 

そういったことを踏まえると、短い時間の中で作品としてちゃんと仕上げる、ということがいかに難しく、そしてやり遂げる力がどれほど重要かを思い知ります。

 

「○○がないからできません」

と言うのは簡単です。

ないならないなりに、どうするか?

時間もお金も、モノも、自分がほしいだけ潤沢に手に入るなんてことはありえません。

いつも、足りない状態。

その中で、自分はどういう選択をするのか?

 

プログラミングに限らず、問題解決の場でも同じことが言えます。

全ての条件が理想通りに揃うなんてことはない。

足りないものだらけの中で、いかにして効果を上げるか?

粘り強く、目標に向かってすべきことを冷静に考え、結果を出す。

今も、これから先も、とても重要な力になるはずだと思っています。

 

あらためて考えると、正解のある課題を与えられるワークと比べて、自由度の高い探プロのワークショップは、非常に難易度が高いと言えるのかもしれません。

 

でも逆に言えば、チャレンジのしがいがあるわけですし、こちらの期待に応えてくれる子どもたちを見ていると、感動すらおぼえます。

 

 

私は普段の仕事で常に問題解決と向き合っていますが、それがITに関連することでも、ビジネスに関連することでも、一番重要なことは、厳しい環境の中でやり遂げることだと実感しています。

そのために必要なスキルの1つが論理的思考力なのであって、論理的思考力があれば問題解決ができるわけではありません。

 

探プロではこれからも、子どもたちにとって本当に価値のある学びの場を提供していこうと、あらためて実感しました。

 

私にとっても気づきの多い、実りあるワークショップとなりました。

関係者の皆さま、参加してくれた方々にお礼を申し上げます。

ありがとうございました!

 

次回がもしあれば、今度はグループワークを中心にプログラミングの考え方を学ぶワークショップを提供したいと思っています。

またお会いできることを楽しみにしています!

@tanpro-lab