探究型プログラミング学習(探プロ)

プログラミングの考え方を学んで、未来を創る力を手に入れる

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【レポート】littleBitsで公園をつくろう!日の出公園バージョン その2

ところで余談ですが、ワークショップの中で一番興味深く、私が好きな時間がこの工作の時間です。

といっても、私自身は創作せず、子どもたちが真剣な表情で試行錯誤しながら手を動かしている様子を観察して、ワークショップを通じてどんな変化やストーリーがあったのかを分析しています。

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この5年生の男の子は噴水を作っていました。

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完成品はこちら。

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彼は、前編での自己紹介のとき、公園に行って水風船で遊んだ

という話をしていて

公園のグルーピングのときも、水というグループを作ることに拘っていて

そして噴水を作っているわけですから

よほど水に思いがあったんだなと。

 

この噴水は、夜になると光ったり、扇風機であたかも水が湧き出ているように見せたりと芸が細かいのですが

それだけじゃないんです。

 

災害時にはなんと、飲めるんですって、この水。

普段は禁止されているけど、いざというときは解放して飲ませてくれるのだそうです。

エコですね、素晴らしい。

 

こちらは3年生の男の子の作品。

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なんだか分かりますか?

ターザンロープですよ!

彼は、前回参加してくれたときから、ターザンロープを作りたい、という話をしていて

その話を覚えていたデジタルハイクの浅川さんが、そのために突っ張り棒を用意してくれたんですよねー

そして見事に完成させました。

 

実はこのターザンロープ、ものすごく巨大なシステムになっていて

土台の部分はシェルターになって万が一のときに逃げ込める作りになっていました。

他の使い道はないだろうか?と考える思考がしっかり身についているんですね。

すばらしいです。

 

続いて、初参加の3年生の男の子の作品。

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信号を数字化するnumberモジュールをタイマーに見立て、数字の大きさに合わせてライトのボリュームを調整する照明を作っていました。

しかも付属機能によって、津波など災害発生時には、ブザー音やファンがまわって非常事態であることを教えてくれるのだそうです。

littleBitsを初めて使ったとは思えない使いこなし方でした!

 

そして、こちらは1年生の男の子の作品。

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光る登り棒!

一人ずつ、自分の作ったものを発表するときには、最後に他の子からの質問を受け付けるのですが

このときは、他の子があることに気づきました。

「棒とライトが同じ色だ!」

だから、デザイン的にも邪魔せず夜にも美しい登り棒になるんですねー

こんな気づきもフィードバックがあってこそ、と思います。

 

見ていると、大人からの促しよりも同年代の子どもから質問されたときのほうが、子どもたちは自信をもって応えているようです。

自分の作品を見て欲しい、自慢したい、という気持ちをもっと尊重しなければ、と思うところでもあります。

 

そして、1年生の女の子はなんと、かまどベンチを作りましたよ。

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鍋のアイテムは一つしかなかったのに、すかさず使っているところがさすがです!

ケースの中には燃えたぎる木材が入っていて、鍋の中には水が。

これを見た他の子がすかさず

「噴水の水が使える!」

と。

なるほど!

 

バラバラに作っていた日の出公園が少しずつ繋がってきましたね。

 

こちらは3年生の女の子の作品。

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巨大な登り棒を紐を伝って移動する遊具。

高い壁に覆われているのは、津波がきたときにこれもシェルターになるから。

ちなみに、ちゃんと可動式の屋根もちゃんとついています。

 

そしてここでも突っ込みが。

「でも入口から水が入っちゃうよ」

大丈夫、ドアをつける予定なのだそうです。

 

こういったやりとりを観察していてあらためて感じたことがあります。

少なくとも探プロのプログラムにおいては、littleBitsをいかに使いこなすか?

ということはさほど重要ではない、ということです。

プログラミングも結局は思考を実現する手段の一つにすぎないと気付けば、プログラミング言語を使ったり、専用の教材を使わなくても学習は十分に成り立つのですよね。

 

何か別の用途に使えないか?

と考えて自分の手で実際に作り、皆んなの前で発表したこの経験が記憶に残って

いつかそれが、あぁ、そういうことだったのか

と気づいてくれたら嬉しいなぁ、と思っています。

 

そして、最後は6年生の男の子の作品。

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分かるでしょうか?

ブランコです。

彼は、前回もブランコを作っていたんですよね。

シンプルに見えるけど、作りの細部までこだわって、設計書まで作った拘りの作品です。

 

なるほど、ブランコか、と思っていたら衝撃の事実が彼の口から伝えられてみんなびっくり。

ブランコの椅子の蓋を開けると、なんとそこには大量の缶詰が!!

ストローを細かく刻んで、一つ一つに缶詰の名前が書いてありました(笑)

 

非常時にはここから缶詰を取り出して配給してくれるのだそうです。

椅子を使い回すという発想はなかった…

さすがです。

 

あらためて日の出公園を眺めてみれば

たくさんの遊具があって身体を動かせる一方

非常時には水や食料、火が手に入り

万が一があればシェルターに逃げ込むこともできる。

そして夜にはあちこちの遊具がライトアップされて、とってもきれいです。

(ライトアップした状態で最後に写真を撮れば良かった…次回こそ!)

 

公園には何があるんだろう?

から始まり、似たものを集めて名前をつけて公園のコンセプトを作り

同じ設備なのに災害時や夜にも使える変身する公園を皆んなで実現しました。

 

公園を作るなんて、普段の遊びではなかなかここまでは経験できないですよね?

そして単なる遊びや工作ではなく、このワークショップを通じて抽象化、実体と役割、というプログラミングで使う思考も学びました。

 

プログラミングを学ぶ形として、これで一つ仕上げることができた、という実感を得ることができた今回のワークショップは

私にとっても思い出深いものとなりました。

みんなありがとう!

 

公園をつくろう、のプログラムは、今後どんな形で進化するでしょうか。

ご期待ください! 

@tanpro-lab