探究型プログラミング学習(探プロ)

プログラミングの考え方を学んで、未来を創る力を手に入れる

プログラミングの考え方を学んで未来を創る力を手に入れる

【セミナー報告】アクティブラーニングをより深い学びにつなげる! 〜リフレクションで創る知の世界〜 3/3

いよいよ本題の、リフレクションによる深い学びについて。

 

リフレクションは単なる振り返りではなく、振り返りを通じて自分が学ぶ、という活動なのだそうです。

これの意味するところは、自分自身に鏡を向けることであると。

 

アメリカの哲学者John Deweyは、リフレクションのことを

様々な側面から多様な光を当てて対象を見つめることができるように
ひっくり返しながら、その対象に関する重要な点を見落とすことがないようにすること

と定義しました。

シンポジウムの後半では、リフレクションの目的とは、次の経験に繋げることである、といった話が出ており、授業でやったことを想い出し(REVIEW)、感想や手ごたえ・満足度を振り返り(REACTION)、反省する(REGRET)といった活動は何れも本来のリフレクション(REFLECTION)ではないといいます。

 

では、正しいリフレクションとは何か?

これを見極めるためには、以下をチェックすることが有効だそうです。

  • 学習者の自発的な学びや気付きを十分に尊重できているか? (想定内に答えを収めようとしていないか?)
  • 学習者自身が次にどのような行為をとるか判断できる余地を十分に与えているか?(主導権を教師が握ったままにしていないか?)

あくまでも学習者が中心。

思考が止まりやすい学習者に対して、つい先走って促してしまいがちなところを堪え、学習者が自分でリフレクションし言葉にするのを待つ、ことが重要であるといった話が非常に印象的でした。

 

学習者中心、といった話は「メタ認知を促す」という言葉でも伝えられました。 

メタ認知の観点から、アクティブ・ラーニングを深い学びにつなげるポイントとして田村先生より2つ紹介されました。

  1. 精緻化(獲得した知識を構造化し繋げる)
    →安定、定着をはかる
  2. 自覚化(自己変容を自覚する)
    →意欲を持続させる

そして、これらを実現するために有効な方法として3つ紹介されました。

  1. 課題の質を上げる
    自分にとって、社会にとって、探究にとっての課題となっているかどうか?を見極める
  2. 文字言語でリフレクションする
    意識して刻んでいく。そのためには、一定の長文を書くことに意味がある。振り返りを文字を書く
  3. 音声言語でインタラクションする
    子どもたちはそもそもどんな知識をもっているか?どのように処理してほしいと考えているか?それを対話の中で手に入れる

 

ここでもまた抽象的な話が続くわけですが、『探究型プログラミング学習』の観点から捉えてみると、アルゴリズム化のところが有効に働いていることが分かります。

一般的なプログラミング学習ではコーディングが中心で、動くものを作ることが重視されます。

その過程における試行錯誤の中では、もちろんアルゴリズムを思考する部分もあるわけですが、プログラムを動かした後に、もう一度そのアルゴリズムを振り返っているか?

というと多くの場合、やっていないと思っています。

 

リフレクションによって自分自身の思考をもう一度なぞること、それが他者とどのように違うのかを理解すること、これらは単に思考力を身につけるだけではなく、さらに踏み込んだ深い思考に辿りつくために非常に有効だと感じました。

 

ちなみに『探究型プログラミング学習』ではこれを、学習フレームワークMAC)の中で実施する探究学習や、学習プロセスの中にある「事後学習」の中で実施することを想定しています。

そしてその目的は学習の継続であり、学びを継続することによって、学びをより深めていきたい、といった想いを込めているのですが、今はまだコンセプトの段階でしかないので、少しずつ、仕組み化していきたいと考えています。

 

2時間のシンポジウムで得られた学びは多すぎてとても書ききれないのですが、あらためて『探究型プログラミング学習』が目指す方向性の正しさや、プログラミング学習の中にアクティブ・ラーニングの思想を取り入れることの面白さを自覚する良い経験ができました。

@tanpro-lab