探究型プログラミング学習(探プロ)

プログラミングの考え方を学んで、未来を創る力を手に入れる

プログラミングの考え方を学んで未来を創る力を手に入れる

電子工作キットのlittleBitsでプログラミング!?

先日ある人が、女性は論理的思考力が高くないからプログラミングやロボットのような操作には不向きではないか?
という仮説を話していてびっくりしました。

 

専門家ではないので学術的な反論はできないのですが、少なくとも、感覚的にいうと、性別というより個性では?
と思います。

 

プログラミング教育とかSTEM教育、という文脈では
なにかと女の子の参加率が話題になるのですが
男の子と比べて少ないのは単に
「見た目の良し悪し」
ではないのか?
とも思っています。

いかにもメカニックな様相のものに惹かれるかどうか?

なので、プログラミング教育の現場でよく使われているRaspberry Piとかマインドストームなんていうのは、いかにも、っぽくてイマイチだなぁ、と。

私が小学生だったら、基盤むき出しのラズパイを手渡されても、なんだかゲンナリしてやる気にならないだろうなぁ、と想像します...

 

現場を覗いてみると指導者には男性が多く、ご本人が喜々としてそうしたツールにハマっている様子が多く見受けられます。

そうした現場には、やはり男の子が引き寄せられるのですね。

 

女の子向けの講座なども時々見かけますが、個人的には、プログラミング学習において男女差を意識することは好ましくないと考えていて

その点で私が注目しているのは電子工作キットのlittleBitsです。

私が最初にlittleBitsに出会ったのは、とある学校教育関係の展示会でした。

電子黒板やアクティブラーニングなどの言葉が並ぶ未来の教育、という感じの展示会だったのですが、どれもこれも似たような製品ばかりで辟易して帰ろうとしていたそのとき

最後のブースで見かけたlittleBitsの様相に釘付けとなってしまいました。

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それ以来、littleBitsを使ったワークショップに注目しているのですが、あるとき、littleBitsのBit(ビット)と言われる各モジュールと、プログラミングの概念が似ていることに気がついたのです。

 

ピンク色のモジュールには、ボタンやスイッチなどがあり、処理を実行する機能をもっています。

これは、プログラムでいうところの「命令」と置き換えることができます。

また、緑色のモジュールであるライトやブザー、モーターなどは処理すなわちプログラムの「結果」を表す機能といえます。

そして、オレンジ色のモジュールには、分岐や論理回路などいろいろな機能が用意されているのですが、何れも処理を「制御」するものです。

 

つまり、3つの色の組み合わせ、即ち「命令」「制御」「結果」の組み合わせはプログラムの構成そのものなのですね。

 

手のひらサイズのモジュールの組み合わせは無限にあり、自由な発想で誰でも簡単に電子回路を作ることができます。

これは、私がとあるワークショップ用にサンプルとして用意した作品です。

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玄関の呼び鈴を鳴らすと音がなり、玄関に足を踏み入れるとライトがついて換気扇がまわる作りになっています。

 

littleBitsのモジュールの中には音や光に反応するセンサーも用意されていたり、KORG社が開発したオリジナルのSYNTH KITを使うと、シンセサイザーを自作できたりと、littleBitsは単なる工作の域を超えて、様々な学習に繋げることができる多様性があります。

また、電気の通るものなら何でもキーボード(インプットツール)にできるMakey Makeyや、マイコンの一種であるArduinoと互換性のあるモジュール、日本では未発売ながらクラウド環境に接続できるモジュールなど、コンピュータの基礎を学習するために必要な学習環境が一通り揃っているところも魅力の一つです。

 

私が何より魅力を感じるのは、littleBitsの見た目です。

この可愛らしい色合いや形には性別を超えて惹かれるようで、実際にワークショップをやっていても、男女差が気になることはありません。

さらに面白いのは、世代さえも超えるところで、実際にlittleBitsのワークショップでは大人の方が夢中になっているシーンもよく見かけます。

 

男の子も女の子も、littleBitsに惹かれるところは同じなのですが、手の動かし方や作る作品はけっこう違うのが面白いところです。
男の子は繋いでから考える、というタイプが多いのに対して
女の子は考えてから繋ぐ、というタイプが多い印象ですね。

 

先日のワークショップでは、偶然にも男の子グループと女の子グループに分かれたのですが、私の説明が終わるまで手をつけずにいた女の子グループに対して、説明などそっちのけでlittleBitsを触り続ける男の子グループ、という対照的な構図が面白かったです。


全体的に、女の子の方が整然としていて美しい回路になるのですが、作るのに時間がかかりすぎるという難点も。
逆に、男の子はとりあえず動かすことを重視するので早いけれども、複雑なわりに無駄の多い回路になりがち、という感じです。

 

男女で思考のプロセスや、重要だと思うところが違うように見えるのですがどうでしょう。
そういった視点で子どもたちの行動を観察したり、作品を比べたりしているだけでも十分に楽しめますが、個人差も多くあるので、こういう回路を作る子は論理的思考力が高め、なんていうパターン化ができると面白いなぁ、と考えています。

 

次は、littleBitsを使ったプログラミング学習とアルゴリズムとの関係について書いてみます。

@tanpro-lab