プログラミング学習を体験する学びの場づくりに必要なことは何か? その2
私が考えているプログラミング学習のコンセプトの中には、チーム学習の要素が入っています。
プログラミングというと、個人で黙々とパソコンに向かうイメージがあるので、チーム学習という発想は生まれにくいかもしれません。
でも実際には、作りたい対象が大きくなればなるほど、一人ではなく複数人でプログラミングしなければいけないので、始めからチームでの学びを意識しておいた方が良いだろうと思っています。
システムの世界が1 or 0という厳密なものであるからこそ、チーム活動にも厳密さが求められるので、中途半端なコミュニケーションではうまくいきません。
そうした観点からも、チームでプログラミングを学ぶことには意義があると思っています。
このチームをどう実現するか?
といったことを考えているときに、PBL(Project Based Learning)という考え方を知りました。
そのときに書いた記事がこちら。
PBLは、チームで問題解決に取り組むための思考であり手法なので、プログラミング学習との相性がとても良いです。
このPBLを使って学習効果を高めるために何が必要なのか?
ということを突き詰めていったところ、チームづくりに必要なキーワードとして
「自己肯定」「信頼」「価値観」「他者への貢献」といったものが出てきました。
そして、実はアドラーがこの問いに答えてくれるらしいと聞いて、bon voyage 有栖川の熊野さん直々にお話を伺ってきました。
アドラーのいう「幸せの3つの条件」
- 自己受容:不完全な自分も丸ごと受け入れられる
- 他者信頼:自分を信頼してもらえる安心感を通じて、他者も信頼できる
- 他者への貢献:他者の役に立っていることを実感できる
この3つが好循環したときに、自分の属するチームやコミュニティ、組織に対して貢献したいという強いモチベーションと行動を生むことができるそうです。
単に勝ち負けを競うことを目的としたチームでは、そこに役割が生まれ、ときに自分自身を犠牲にしなければいけない場面があるかもしれません。
ここで懸念されるのは自主的な活動と継続性です。
勝った、負けた、の結果であったり、そこで果たした役割によっては、もしかすると活動そのものに魅力を感じなくなったり、引き続き関わろうとするモチベーションが生まれないかもしれません。
だから必要なことは
心からそのチームに貢献したいと思えるか?
自己犠牲ではなく、自分自身が"どうありたいか?"を決めることができるか?
だと思います。
そうした考え方に共感する、同じ価値観をもった子どもたちで構成されたチームは、強固な信頼関係で結ばれます。
アドラーはこれを「共同体感覚」と呼んでいるそうですが、これによってチームは成功への第一歩を踏み出せるのですね。
子どもたちが学習するときのチームづくりにおいて、大人がサポートできることがあるとしたら、大人自身が、子どもたちを信頼し、彼ら彼女らのありのままを認めることと、自分の生き様を子どもたちに見せることだろうな、と思います。
大人から信頼してもらった子どもは、その心地良さを知っているから、他者のことも信頼しようとする。
その大人が、本気で人生を楽しんでいたら、子どもはその生き方を真似しようとする。
その好循環を、大人からスタートさせるということです。
プログラミングそのものを教えることができなくても、チームである子どもたちの学習を全力で支えることはできるはず。
プログラミング学習という話が、そんな壮大な話に繋がることに違和感をおぼえる人がいるかもしれません。
でも本来、学習とは、その学びを通じて社会に貢献することなのだから、自己完結に終わらない学び場を大人が提供することは、とても重要なことだと考えています。
引き続き、プログラミング×PBL、の学び場としてあるべき形を具体的に考えていきます。