最近のプログラミング教育動向-その1
最近はやりのプログラミング教育の話題には、大きく2つのテーマが存在するようです。
1つは、子ども向けのプログラミング教育で、これは主に学校や民間企業などによって行われており、年齢の小さな子どもたちには「プログラミングは楽しい」と思わせることで考える力や熱中する力、モノづくりの楽しさを実感させることが目的です。
日本の学校では、平成24年度の新学習指導要領で中学校の技術家庭科にプログラミングが取り込まれ、あちこちから「なにやったらいいの??」といった混乱の声があがっているようです。
実際に困っている先生の話を聞いたこともあります(^^;;
この分野だと、私立の品川女子学院が有名ですね。
家庭科の酒井先生は、Life is Techと一緒に教育カリキュラムを研究したりして、ちょっとかっこいい感じです。
一方で、私立のように自由な試行錯誤がままならない公立では混乱を極めている様子で・・・
何のためのプログラミング教育か?
というところが明文化しきれていないのと、現場の先生たちにとって、将来へ繋がるイメージがもてないところに問題があるのでは?
と思いますが、どうでしょう。
この記事の中で印象的だったのは、高等学校への導入に関する課題として
「変化を嫌う職場で、今まであったことをそのまま粛々としたい」多くの現場の状況が、情報教育が変わらない原因の一つとして挙げ た。さらに高等学校の授業として取り組む場合、「100点満点に換算して見せる必要があるため、結果的に100点満点に換算しやすい内容になってしまう」 といった問題を挙げた。
という話題があったこと。
DeNAが佐賀県武雄市の小学校や多摩市の愛和小学校に対して、小学低学年向けのプログラミング教育を導入していますが、小学校、中学校、ときて高校、の一連の中でプログラミング教育をどう位置づければ良いのか?
小学生はお遊びの中で楽しめればOKかもしれないけれど、高校ではそうはいかない。
だとしたら、どのような形で学ばせれば良いのか?
学校教育の観点からみたときには、プログラミングを体験してみる、といった軽いノリではすまなくて、将来に繋がるような、もっと長い目でみたときの位置づけをはっきりしておく必要があるのだろうな、と感じました。
ところで巷にはPEG(programing education gathering)というプログラミング学習の普及プロジェクトなんていうものもあります。
このプロジェクトでは、極小のコンピュータであるラズベリーパイを使って、自作のパソコンを組み立てたり、プログラミングして動かしてみたり、と実験形式で、とにかく手を使って学ぶことができるのが特徴。
中学校や地域のワークショップなどに導入されています。
個人的にはこの辺の動きが一番、違和感がないのですが、それでもなお、どこに向かうのか?
には答えきれていないような気がしています。
民間企業の動きをみると、ITエンジニアはCool!というイメージ作りから入ってエンジニアを目指す子どもを増やそう、といったコンセプトで活動しているところが多いですね。
たとえば先に書いた中高生向けの「Life is Tech」では、プログラミングのできるかっこいいお兄さん、お姉さんとのプログラミングキャンプに参加すること自体が、子どもたちの憧れ、という形をうまく作っています。
スクール形式の教室では他にサイバーエージェントの「CA Tech Kids」などがあり、先日は通学している小学生が自らの作品をプレゼンで発表するTech Kids EXPOが開催されました。
実際に、そのプレゼンを観に行ってきたのですが、彼ら彼女らは確実に未来の学びを体験してると感じました。
わずか数か月で、スクラッチを使いこなして動くWebサイトをつくり、アプリを作り、Pepperやドローンを操作する。
日本の中ではほんとうに一握りの子どもたちではありますが、環境さえあればこれだけのことができるのだという意味で非常に参考になります。
但し、これらの企業が提供するスクールは非常に高価ですし開催している場所も限られている。
だから、通わせることのできる親もまた、かなり限られてしまうことが問題だとは思います。
何れにしても、IT業界の端くれにいる私がみても、ちょっとかっこいい雰囲気、を漂わせていることは間違いなく、(実際の現場がどうかはともかく)エンジニアに憧れる子どもを増やす、といった目的は達成できるのではないでしょうか。
もう1つの大きな動向は、これまでITに関わる機会のなかった人たちに向けたプログラミング教育です。
その2へつづく。