平成26年度「教育の情報化」推進フォーラム レポート
日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)主催のフォーラムへ行って来ました。
文科省や総務省が行っている実証実験の中間報告と、各自治体の活動報告、民間企業の製品紹介、といった内容です。
冒頭に行われた文科省と総務省のプレゼンでは、会場が超満員で驚きました。
立ち見で聴き始めたものの、、、資料だけあれば十分な内容だったので途中退席。
両省庁は、福島県新地町の4校、東京都荒川区の4校、佐賀県の4校に対して、文科省が「先導的な教育体制構築事業」を、総務省が「先導的教育システム実証事業」を平成26年度〜28年度まで実施することになっています。
似たようなことをやっていて紛らわしいのですが、最先端技術を使って学校と家庭を繋ぐ先導的な教育体制を、文科省が指導方法や教材、事例の共有などの観点から研究し、総務省はシステム環境の観点から研究する棲み分けとなっています。
文科省の報告によると、2014年12月に国立教育政策研究所が「CONTET」を開設し、自治体の垣根を越えて教育関係者が情報を共有できる環境が整いました。
海外の事例だと、オーストラリアのLearning Placeとか、韓国のKERISなどが有名です。
特に韓国では教育アプリ100選!のような形で、国が質の保証をして安心して使うことのできる環境が整っています。
日本のCONTETは教材コンテンツは現時点で3000点ほど、しかもサイトも貧弱・・・ということなのでこれから、という状態ではあるのですが、まずは一歩前進ではないでしょうか。
今後の活用を期待します。
総務省の報告で興味深かったのは、現在の学校ICT環境には以下の分野に課題があるということです。
①環境構築が他国と比べると遅れている(端末は6.5人/台、校内LAN整備率は85.6%、無線LAN整備率は24.9%)
②サーバーの構築費用の負担大
③アプリケーションのバージョンアップに伴う運用負担大
④異なるベンダーのアプリケーション間の連携が大変
そして、各民間企業の製品は、これらの課題を解決するアプローチをとっていました。
例えば、システムの導入には学校単位だけでなく、自治体単位やクラウドの利用といった手段が用意されています。
特にクラウド環境では、構築や運用の負担から解放されるため有益ですが、セキュリティを意識して自治体で導入するケースが割と多いとのこと。
電子黒板と端末間のネットワークは基本的に無線なので、生徒にタブレットを持たせるのであれば無線LAN環境が必要ですが、3年かけて整備率が1%も上がっていない現状を考えると、2020年までに一人一台の端末を使った教育を実現しようとする「日本再興戦略(JAPAN is BACK)」の実現の見通しは明るいとは言えません。
自治体や学校に対して、電子黒板を使った電子教科書の活用や、タブレットの導入、公務支援システムの導入など、あらゆる形でプレッシャーがかかるイベントになっていました(^^;;
大雑把にみると、ソフト面ではかなり充実しており、同様のサービスを始める企業がかなり増えてきたな、という印象です。
にも関わらず導入に至るスピードが遅いのは、インフラ整備が進まないことと、自治体予算の都合ではないかなぁ、、、という気がします。
韓国が国をあげて推し進めたのとは対照的に、日本の改革はかなり、のんびり、といった印象でした。