【座談会レポート】何のためにプログラミングを学ぶのか?
10日の土曜日は真夏のような暑さでしたね。
そんな中、プログラミング学習に関心を持つ方々が集まり、学校教育への不安と期待、家庭の役割などをざっくばらんに語る第2回の座談会を実施しました。
3歳のお子さんがいるお母さんからは、これから始まるプログラミング学習への向き合い方について質問がありました。
なぜプログラミングを学ぶのか?
将来、どんな役に立つのか?
そういったことを、子どもにどう伝えたら良いのか?
その問いを受けて、他の参加者から出たのは
そもそも「プログラミング」という言葉の意味が、人によってずいぶん違う、という意見でした。
そこで、各参加者が思い描いている「プログラミング」のイメージを共有することからスタートしました。
9歳と5歳の女の子をもつお母さんはプログラミングに対して
「パソコンの黒い画面に向かって難しそうなことをやってそう」
といったイメージをもっていました。
自分がよく分からないものには漠然とした不安を頂きがちですが、プログラミングに対しては特にそうかもしれません。
私からは、プログラミングは手段なので
何のためにその手段を使うのか?
その目的を抑えておく方が重要だという話をしました。
プログラミングの話をするときには、それが論理的思考を育成するとか、そういう話だけに留めないで
社会にある様々な問題を解決するために、社会の仕組みを読み解いたり
解決するために誰かと協力したり
といったことが必要になることを思い出してほしいのです。
探プロが伝えたいのは、そのときに使える技としての、プログラミングの考え方、です。
複雑化する社会の中では、モノとモノの繋がりを理解することはずっと難しくなります。
ということは、その仕組みを読み解くチカラは今以上に求めるわけですが
プログラミングの考え方を使いこなすことで、それができるようになります。
そして、他者と協力して何かを作る経験も必須です。
自分一人でプログラミングのスキルを磨き上げることも良いのですが
プログラマーを目指すわけではない多くの子どもたちにとっては、もっと応用の効くスキルとして、プログラミングを学んだ方が良いと思っています。
プログラミングを単なる手段として捉えるのではなく
その考え方を社会の中で活かす
と捉えることで、プログラミングの考え方を学ぶ理由や効果を説明できるようになります。
そらは、大人自身にプログラミングの経験がなってもなくても、変わりません。
プログラミングの考え方自体は、私たちが仕事など社会の中で自然と身につけているものだからです。
そんな話をしていたら、座談会なのに私の話ばかり長くなってしまって反省なのですが…
長いエンジニア経験を活かしてプログラミング教育に貢献したいと考えている男性からは
子どもたちの興味を惹きつけるコツはあるのか?
という質問がありました。
それに対して、ご自身の学習教室でプログラミングの考え方を伝える試みを始めている別の参加者から
例えば、歯磨きや地図といった、子どもに身近なテーマを取り上げるのが良いのでは?
というアドバイスがありました。
実際に、歯磨きという行為をアルゴリズムで子どもたちに説明させたところ
そのときに使ったレゴブロックの使い方も含めて、普段接している子どもたちの意外な能力を発見できる良さもあった、ということでした。
子どもたちに身近な社会をテーマにするところは探プロでもとても重視しています。
子どもだけでなく、保護者にとっても身近な方が安心して一緒に学べますしね。
その男性からは、ゴールに向かう順序を考えることや、ものの存在、関係などを知ることがプログラミングを学ぶことではないか、といった意見もありました。
料理もプログラミングですね、という意見にはとても共感します。
さらに、料理の話からオブジェクト指向の話にまで繋がったのは座談会ならではの自由さですね(笑)
子どもたちがよく使っているScratch というプログラミング言語は、シーケンスに命令を実行していくアルゴリズムは学べますが
オブジェクト指向の考え方を学ぶには向いていないようです。
最初に書いたように、問題解決の手段としてプログラミングを使うとき、必ず他者との協力が必要になります。
そうなると、自分の書いたプログラムと、相手の書いたプログラムとの関係を理解することがとても重要になるのですが
そのときに、オブジェクト指向という考え方を知っておくととても役立ちますし
実は人間同士のコミュニケーションも同じ考え方が応用できます。
この辺の詳しいことは、いつかまた書いてみたいと思います。
学習教室を開いている参加者からは、子どもを通わせる保護者たちは
学校でプログラミング教育が始まるとして、どんな評価をされるのか?
といった不安を抱えているという話がありました。
親として気になるのは、プログラミングという未経験の学習を始めるにあたり
子どもに前もって勉強させておいた方が良いのではないか?
ということなのだそうです。
今の時点では、学校でどんな授業をするのか決まっていないので
評価についても、全く分からないんですよね…
考えるのがとっても大変そうだなぁ、ということくらいは分かりますが(笑)
そんな話をしながら、ちょっと悶々としかけた頃、参加者のお子さんが静かに作っていた作品を見てびっくり。
プログラミング教育に関心のある人たちが集まった会でしたが
子どもの自由な発想は伸ばしてあげたい、という意見は全員が一致しました。
特に、年齢が上がるにつれて発想力は制限されがちなので
小さい頃から創造性を育む体験をすることが重要です。
探プロは、思考スキルの部分において、論理性と創造性の両方を手に入れることを目指しています。
とっても難しいことは理解しているつもりですが
いろんなコンテンツを作りながら、不可能ではない、という実感も得られつつあります。
今回の座談会を通じて、プログラミングの捉え方が少しでも変わってくれたら嬉しいです。
プログラミングの考え方ら難しいものでも怪しいものでもなく
私たち大人が仕事などを通じて身につけた考え方と実は同じなのであって
子どもたちがその考え方を学んでおくことは、間違いなく将来の役に立つことなのだ、ということが伝わると良いなぁと願っています。
私自身にとっても学ぶことの多い会なので
7月にもまた、 開催する予定です。
関心のある方は是非、一緒に考えましょう。