【ワークショップレポート】火星の街を作ろう! 2/2
高学年のグループは、小学校高学年から中学生と高校生の混成です。
今回は2つのグループに分かれ、そこに大学生のリーダーがサポートに入りました。
ちなみに、この子たちはカペラ、リゲルと呼ばれています。
低学年のグループがわーわー大騒ぎしているのを横目に、お兄さん・お姉さんは淡々と作品を仕上げていきました。
さすがです。
いつものlittlebitsモジュールだけではきっと物足りないだろうと思っていたので、今回は特別に赤外線通信のできるモジュールなどいくつか新しいものを持ち込んで、高学年のグループにだけ提供しました。
また、たまたまリーダーの方が用意してくれたレゴブロックの中に、テクニックシリーズのパーツもあったので、あっという間にこんなものが。
ちゃんとリモコンで動きます。
3年、4年生のスピカと呼ばれる子どもたちのグループと、高学年のカペラ、リゲルのグループが、同じ部屋で同じ探プロのプログラムを体験するために、それぞれ難易度の設定を変えました。
1つは、アルゴリズムに指定する条件の違いです。
スピカは「順次構造」のアルゴリズムを作ること。
カペラとリゲルは、「分岐構造」や「繰り返し構造」も使い、フローチャートを使ってアルゴリズムを可視化すること。
模造紙と付箋紙を用意してもらい、リーダーが子どもたちをリードしていきます。
みんな真剣。
もう1つの難易度の違いは、火星そのものの探究にあります。
ワークショップの冒頭で、火星ってどんな星?と尋ねて共有する時間がありました。
マイナス100℃以下でめっちゃ寒い、酸素がほとんどない、重力が地球の1/3、砂嵐がおきる・・・などなど。
リーダーの方々が用意してくれた火星情報を見せる前に、子どもたちはどんどん答えてきます。
さすが、みんなとてもよく勉強してきています。
低学年のグループは、砂嵐がきたときに駆け込んでゆっくり過ごせる家や地下ホテルを作ったり、食物が必要だということで畑を作ったりします。
実現性よりも発想力重視ですね。
ちなみにこれは光と空調が完全にコントロールされた畑です。
花が咲くんです火星にも!
一方の高学年グループは、こんなことを考えていました。
こちらが、遠心力を使って重力をつくりだす装置。
この赤い板がぐるんぐるんと回転する仕組みなのですが、実は重力の大きさをコントロールすることができます。
重力を小さくしてトランポリンを楽しむという発想に脱帽でした。
ちなみに、重力を小さくするときは電源をOFFにするのですが、消すの??とすかさず突っ込みが入ります。
でも、火星の重力は地球の1/3もあるんだから、と切り返してましね(笑)
砂嵐がないときは、この水素電池で動く車にのって街を探索します。
そして最後は光のイルミネーションを堪能してガイドツアーは終わります。
そして、もう一方のグループはちょっと違う視点で考えました。
今回のミッションは、1年後に火星へやってくる仲間のためにガイドツアーを企画しよう!
でしたが、彼らが重視したのはそれまでの1年間を無事にちゃんと生きて過ごす、ということでした。
まずは、エネルギーの確保です。
見てください、この原子力発電の装置の精密さ!
この原子力発電装置には特殊機能が装備されていて、イレギュラーケースにも対応できるのだそうです。
例えば、火星で爆発のようなアクシデントが発生した場合にそのエネルギーを宇宙に向かって放出したり。
実は今回のプログラムを企画するときに、プログラミングの考え方の一つである「例外処理」を組み入れようと考えていたのですが、これがまさにそうですね。
通常ではないイレギュラーな事象が発生したときに、何らかの形で問題を回避し、致命的な結果となることを避けるための処理なのですが
今回それを考えさせるのは難しいだろうと諦めたのでした。
(ちなみに、例外処理の考え方と分岐構造とは違いますがこの話はまた今度)
まさにこのような形で使うのが理想的。
素晴らしいです。
そうそう、今度はこの例外処理をテーマにしたプログラムを企画する予定なのでご期待ください!
火星の最低気温はマイナス100℃...暖房設備は必須になりそうですが、そこもちゃんと考えています。
このゴミ焼却場から出る熱を利用するのです。
今回のワークショップでの発表を聞きながら、作品の評価の観点は年齢とともに変えるべきだと思いました。
littlebitsを使いこなすとか、作品の出来栄えや見た目が美しい、斬新、というのは、年齢の小さい子たちを対象にしたときの観点としては良いのですが、高学年にはそれ以上のものを求めたいですね。
火星について理解し、そこに住むにあたっての課題を解決するために何が必要か?
そこをちゃんと考えて、ちゃんとプロトタイプとして可視化する。
出来栄えや現実性はさておき、問題解決の第一歩として、テーマを深く考え、まずは考えたことを実践してみる。
そうして試行錯誤をくり返す中で、問題解決力が磨かれるのだと信じていますし
探プロはそのプロセスを想定して作っています。
今回のワークショップでは、探プロが求める姿に一歩近づくことができた気がして、私の方が皆さんに感謝したいくらいでした。
こうした体験の場を、学校でもできたら...と本心から思っています。
学びの場で使う一つのツールとして、探プロが使われる日がいつかくると良いのですが...
こちらは地下を移動する車。詳細をもう少しじっくり聞きたかったですねー。
お兄さんお姉さんの発表も作品はどれも素晴らしく、小さいクラスの子どもたちは目をキラキラさせながら食いついて見入っていましたね。
仲間の発表のときは前のめりでかぶりつき(笑)
そしてだんだん見えなくなる(笑)
数が多いので全ての作品を載せられないのが本当に残念なのですが、子どもたちの作品はアイデアに溢れていてとっても面白かったです。
例えば、これはただのレストラン、ではありません。
2つ連結されたモーターを使って、外で羊(?)をミンチにするのだそうです...
こちらは地下ホテル。
メカニカルな仕組みの部分と、ゆったり過ごせるホテルとのギャップがすごい。
ちょっと分かりづらいですが、ホテルの後ろから出ているライトは、位置を知らせるために地上から出ている部分なのだそうです。
さらに、砂嵐がくると、確かブザーが鳴るんだったかな?
あっという間の2時間でしたが、とっても中身の濃い2時間で楽しかったです。
これだけのイベントを企画し、調整し、子どもたちと探プロに学びの場を提供してくださった宇宙少年団 未来MM分団のリーダーの方々に心から感謝します。
ありがとうございました!