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プログラミングの考え方を学んで未来を創る力を身につける『探究型プログラミング学習』

社会を通じてプログラミングの考え方を学び実践を繰り返しながら未来を創る力を身につける探究型プログラミング学習(探プロ)

未来を創る力を身につける探プロ

【セミナー報告】金沢工業大学 数理工教育セミナー 2/2

1/2はこちら

 

つづいて仙台高等専門学校 の小林仁先生より、「ハイブリッドシンキングによるアクティブ・ラーニングの実践-モノ造型創発教育のアクティブ化-」といったテーマでお話がありました。

この学校では「モノ造型創発教育」をやっていて、学生たちが専攻を超えての主体性のある学び合いができる環境を整えているのだそうです。


「モノ造型創発教育」では、調査→発想→整理→分析→評価、の一連の流れを体験するプログラムを実施しています。

課題とすべき対象を自分たちで発見し、そこにニーズがあるかどうかの市場調査をする。

そして、解決するためのツールを開発して、実際に解決し、ペルソナに使ってもらい、評価をしてもらって製品化を提案する、といった本格的な課題解決のプログラムでした。

 

ここで強調されていたのは、自分達でテーマを決めることの重要性と難しさです。

課題を発見するといっても、難易度の設定やニーズの有無の判別など学生だけでは難しいことが多く、指導者のサポートが重要になってくるわけですが、小林先生曰く、プログラムの半分はこのフェーズで占めている、ということでした。

自分達でテーマを設定すること、これは学生のモチベーションを高めるためにも非常に重要なことだといいます。

 

面白いと思ったのは、課題の発見は努力とは直接的に結びつかない、という話です。

学生によっては、課題発見力に優れていたり、リーダーシップによって他のメンバーをうまく巻き込んだり、と最初のハードルを軽く超える子たちもいるのだそうです。

一方で、どんなに時間をかけても辿りつけない子もいる。

そうした学生たちを広くサポートするために、この学校では発想を拡げる手法や数多く出す方法、その中からいかに効率良く最適解を選択するか、といったところで独自のフレームワークを作っていました。

 

そして、学習プログラムを通じて実践するのがハイブリッドシンキング

ラテラルシンキングとクリティカルシンキングをフェーズによってうまく使い分けることがポイントであるといいます。

具体的には、発想のフェーズではラテラルシンキング、それ以外のフェーズではクリティカルシンキングと使い分けます。

 

私は大学で情報学を専攻して以来、IT業界で仕事をしている中でずっと、ラテラルシンキングを求められる場面がありませんでした。

徹底してロジカルシンキングで、社会人になってようやくクリティカルシンキングに触れる程度。

要するに、「何を作るか(what)」の方向性はだいたい決まっている状態で、「どうやって作るか(how)」を考えるので、ラテラルシンキングの出番がないんですね。

『探究型プログラミング学習』の学習フレームワークMAC)でいうところの、アルゴリズム化とコーディングのステップはやるけど、モデリングはやらない、といったところです。

 

それでも今のところ仕事は成り立つので問題ないのだけれど、コンピュータ化が進むことで「how」に携わる人口が減り、より付加価値のある仕事をするには「what」が考えられるようになることが重要であるということは、これまでに何度もBlogで書いてきました。

そうした問題意識をもって小林先生のお話を伺っていると、高校生の段階でここまで徹底した教育を受けている子どもたちは本当に恵まれているなぁ、と羨ましく思います。

 

話の中で非常に印象的だったのは、学生たちのモチベーションを保つために問いかけを重視していることでした。

説明の中でも「ポジティブ」という言葉が頻繁に出てくるのですが、学生たちが行き詰ったり悩んで立ち止まったりしたときに、過去の事例を紹介したり、視点を変えるヒントになるような問いかけをする。

これを「脱シンドローム」と呼んでいましたが、とかく仕組み化をする上では見落とされがちな重要なポイントだと思いました。

 

自分自身が2年間の大学院生活の中で修士研究を進める上でも、不安や迷い、といったものにぶち当たることが何度もありました。

単に○○シンキングのスキルを身につければOK、というわけではなく、むしろ、思考を深めて徹底的に考えるからこそ、然るべきときに壁にぶちあたることがあるのだと思っています。

そのときに、適切な問いかけや促しができるかどうか?

ここに指導者の力量が問われるのだろうなぁ、と思いましたし、その良し悪しで学生たちの学びはずいぶんと変わるのだろうとも思います。

 

このあと、高校数学や物理の科目の中でアクティブ・ラーニングや反転授業を取り入れることの良し悪しや事例などが紹介されました。

ただ残念だったのは、事例として参考になるような情報はほとんどなく・・・

逆に言えば、この分野の活用は非常に難しいことであるということの裏返しなのだと思います。会場からは現場の実践的な観点からの質問が多く出ていて、その辺りの関心の高さがうかがえました。

 

プログラミング学習の観点からアクティブ・ラーニングを捉えたとき、チームでのコーディングに活用できることは1/2に書いた通りですが、もう1つ、反転学習のしくみを取り入れることも有効だと考えています。

『探究型プログラミング学習』の場合はこれを「事前学習」の1つと位置づけていて、たとえば学習教材の簡単な使い方を動画で学習したり、他の子どもたちの作品集などを事前にみてイメージを膨らませることなどを想定しています。

このようなプロセスの中で、うまくICTを活用するのも、「21世紀型スキル」修得の観点からは非常に有効なはずです。

 

今後も『探究型プログラミング学習』の研究に活用できそうなセミナーやワークショップには積極的に出かけていく予定です。

良さそうなものがあれば是非、ご紹介ください!

@noriko.ogasawara