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探究型プログラミング学習(探プロ)

プログラミングの考え方を学んで、未来を創る力を手に入れる

プログラミングの考え方を学んで未来を創る力を手に入れる

Makeに必要なのは集中力と忍耐力

このBlogの副題には「21世紀型スキル」という言葉を使っていますが、そもそも何か?

ということについてまだ触れることができていません。

詳細はまた別の機会に書くとして、ここではざっくりと「未来を創るスキル」と表現します。

 

2013年に政府が出した『日本再興戦略』によれば、世界最高水準のIT社会の実現のためには産業競争力の源泉となるハイレベルなIT人材の育成・確保が必要であり、そのIT人材とは、ITやデータを活用して新たなイノベーションを生み出すことのできる人材、とあります。

そして、IT人材の育成にはITを活用した21世紀型スキルの修得が必要であると続き、2015年の『世界最先端IT国家創造宣言』の中では、育成に必要な環境として、デジタル・ファブリックやロボティクス、プログラミングなどの整備を進めると書かれています。

 

要するに、ICTを使いこなすことが当たり前に求められる次世代の子どもたちは、自らが未来を創り上げるために21世紀型スキルが必要なのですね。

ここ数年、世の中に子ども向けのプログラミングやロボットを使った学習の機会が増えているのはそういった流れによるものです。

 

もう一つの流れとして、新しいモノづくりと言われるMaker Movementというものがあります。

3Dプリンターのようなデジタル工作機器が個人でも利用できるほど低価格になり、インターネットを使ってグローバルに受発注できるような流通の仕組みが整いました。

それによって、これまで大企業による大量生産が主であったモノづくりの世界が個人に対して開かれ、ニッチユーザのニーズに応えたり、個人の優れたアイディアを早期に安く実現するようなことが可能となりました。

これらは21世紀の産業革命とか、モノづくりの民主化、などと呼ばれており、全国にファブラボという施設を誕生させる流れを作っています。

 

その中でも、2014年に秋葉原に誕生したDMM.com AKIBAが注目されています。

設備投資にお金をかけられないモノづくり系スタートアップ企業のために、総額10億円(うち製造設備だけで5億円)もかけて、あらゆる工作機器を揃えた施設です。 

なお、以前に書いた「「創造する人」「発明する人」を育てる教育が必要な理由」の中に出てくるCerevoの岩佐社長がこれらの機器選定の全てに携わっており、Cerevoのオフィスもここにあります。

 

今日はプログラミング学習から少し離れて、もう少し広い視野で21世紀型スキルを捉えるため、こんなイベントに参加してきました。

DMM.com AKIBA 一周年記念 モノづくり縁日

10階にあるStudioの施設を使って、様々なワークショップを体験できます。

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入ってすぐ目に入る工具に釘付けの兄さん。

 

工作機械もすごそうでしたが、あちこちのディスプレイのセンスが良くてすごく好感をもちました。

(というより、機械音痴にはすごさが理解しきれない...)

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体験したワークショップの1つは、サンドブラストという機械を使ってガラスコップに模様をつけるものです。

パソコンで選んだイラストを元に、特殊なシール状の紙に型をつけていきます。

興味深そうに覗きこむ2人。

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ちなみに、このとき選んだカブトムシのイラストを見たスタッフのお兄さんが、このあとの手間が相当大変になりますが、、、お母さん大丈夫ですか?

と何度も心配してくれた理由がこのあと明らかになります。。。

 

先ほどの機械を使ってつけられた型紙から、丁寧に黒いシールを剥がしていきます。

下の画像のうち、白く抜かれているのが剥がしたあとの部分で、剥がしたシールが黒い方です。

見るとわかりますが、手足の細さが尋常ではなく剥がすのが本当に大変でした。。

見るに見かねて、ほとんどスタッフのお兄さんがやってくれたのですが、これはデジタルとかITなんていうものとは無縁のひたすら地味〜な作業でしたね。

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そして次は、この白く抜いた部分をガラスコップに貼り付けて、サンドブラストキャビネットという機械で形を削ります。

機械の中にコップを入れて、外からグローブをはめた手を入れ中にあるピストル型の機器を使って細かい砂を吹き付けていきます。

その砂でガラスの表面を細かく削っていくのですね。

 

余談ですが、この施設にあるデジタル機器は館内に配線された管からホースで繋がれていて、ちょうど、このサンドブラストキャビネットの隣にあった大きな機械がその大元になっていました。

スタッフの方の説明によれば、圧縮した空気を作って各機器に定期的に送り込んでいるのだそうです。

3Dプリンターのアームなど、工具を動かす動力として、圧縮した空気を使っているのですね。

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ちなみに、当たり前ですが、こうした機械は子どもが使用することを想定していないので8歳の息子は椅子の上に膝立ちして臨んでいます。

なので、砂を吹き付けるアクセルペダルは大人が代わりに踏むという二人三脚での工作となりました。

 

出来たコップを水洗いして完成したのがこちら。

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スタッフのお兄さんも、ここまで細かく表現できるとは思いませんでした!

という立派な仕上がりです。

 

この他に体験した工作も含めて、気がつけばなんと3時間も居座ることになり、目一杯楽しんできました。

 

あらためて、こうした工作体験を通じて学べたことを振り返ってみると、モノづくりには集中力と忍耐力が必要である、ということに尽きると思いました。

手伝ってくれたスタッフの方々は皆、非常に穏やかで、子どものワガママや拘りにも辛抱強く付き合ってくれる方ばかりでした。

せっかちですぐに完成させたがる私とは違って、納得のいく形で仕上げたいと思う息子にとことん付き合ってくれる姿勢には頭が下がります。

 

モノづくりに妥協しない姿勢というのは、試行錯誤の経験に基づくものなのかもしれません。

プログラミング学習においても、試行錯誤することが良い経験になる、といった話をよく聞きますが、モノづくりにおける試行錯誤は、プログラミング学習とは少し異なるようです。

デジタル機械とはいえ、工場で生産するわけではない1点モノの製作では、均一に生産するための試行錯誤にかなりの集中力と忍耐力を要するものと想像できます。

プログラミングであれば、結果的に1 or 0なので評価しやすいですが、工作では出来上がった作品の成果は限りなく1という評価になるでしょうから、振れ幅がそれなりにあります。

 

以前、「21世紀型スキル」すなわち「未来を創るスキル」を強化するのは「飽くなき探究心」と「集中力を伴う忍耐力」である、という定義をしたことがあるのですが

今回の体験を通じて、「集中力を伴う忍耐力」というものが具体的に何であり、なぜ必要なのかを身をもって知ることができました。

 

私自身が研究している探究型プログラミング学習では、実際に手に触れて学ぶことを重視しています。

littleBitsのようなモジュールを使っているのもそれが理由で、パソコンの中だけで閉じてしまっては得られない五感を使った学びを体験してほしいという想いに基づいています。

 

今回の体験によってあらためて、自分の手を使って何かを創ることの意義を感じました。

高価な機械を使わせてもらったことや、世界でたった一つの作品を自分で作った経験は、今後の息子の世界観にどのような形で影響するでしょうか。

楽しみに見守っていこうと思います。

@tanpro-lab